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子を私物化した親の末路

◉娘に医学部への進学と、医者になることを期待して9浪───。この記事を読んで、まっ先に思い出したのが、7人が死亡し10人が重軽傷を負った、秋葉原通り魔事件でした。あれが2008年でしたか。母親の異常な子供への過干渉、進学への期待から、子供の人生どころか自分自身の人生を狂わせてしまったわけで。正直、この記事も読んでいて辛いです。なので、下記リンク先の記事を読むのかは、自己責任でお願いしますm(_ _)m

【医学部受験で9年浪人 〝教育虐待〟の果てに… 母殺害の裁判で浮かび上がった親子の実態】47News

 医者になるよう強く要望した母親を殺害し、遺体を損壊、遺棄した長女の裁判があった。9年間の浪人生活を送り、母の異常な干渉で追い詰められていた被告を、判決は「同情の余地がある」と判断した。教育を理由に、親が子どもに無理難題を強いる「教育虐待」が社会問題になっている。教育虐待がエスカレートし、行き着いた悲劇的な結末。親子の間に一体何が起きていたのか。公判では長年にわたる異常な生活状況が浮かび上がった。(共同通信=斉藤彩)

秋葉原通り魔事件の犯人は2015年に死刑が確定。その前の2014年には、犯人の弟が自殺しています。思うに、犯人の加藤智大死刑囚が本当に殺したかったのは、過干渉でヒステリックな母親だったでしょう。結果的に、母親は息子に殺されるよりも辛い、生き地獄に墜ちたわけで。今回の事件、殺人は殺人として重い罪ですが、司法が寛大な判決を下したことに、とてもホッとしている自分がいます。

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■世間知らずの考える世間■

自分も、二浪してようやっと大学に入った人間ですから言えますが、普通に就職とか考えれば、二浪が限度。就職活動では、新卒でも年齢制限がある会社が多いですからね。医者とか弁護士とか、自営業としてやれる職業ならまだしも、という部分はありますが。それだって限度がある。自分の知り合いのように、若い頃は音楽やってて、開業医の父親の跡を継ぐために三十路になって医学部入った人間もいますが。

加藤智大死刑囚の母親も地元の国立大学進学に失敗して、それがコンプレックスになり、息子に過剰な期待をし、虐待と言っても良いぐらいの扱い。自殺した弟さんの手記を読みましたが、こちらもキツかったです。2人の息子の内、一人は大量殺人犯でこのままいけば死刑。もう一人は自殺。結果論ですが、身の丈に合った平凡な幸せを、なぜ求めなかったのか。子供を使って人生のやり直しをするぐらいなら、自分で人生をやり直すべきだった、と。そう思います。

■ステージママの信仰■

単品ダイエットにハマる人がいます。リンゴさえ食べていれば、固ゆで卵さえ食べていれば、糖質を制限さえすれば……こういうのは、手を変え品を変えて出てくる、インチキ詐欺紛い商法です(キッパリ)。現実には、カロリー計算して、適度な運動、バランスの取れた食事を、良い分配で。そういう平凡なことの積み重ねが大事なんですが、信仰のようにそういう考えにすがりつく人がいる。その方が楽ですからね。思考停止は楽。

今回の件の母親も、娘が医者になりさえすれば、という信仰のレベル……いや、狂気と呼んでいいでしょう。9浪という数字に、狂気を感じます。自分の子供が有名大学に進学すれば、医者になれば、自分の優秀さの証明になる。自分の人生も運が悪かっただけ、周囲の理解が足りなかっただけ、そう責任転嫁できる。自分の人生のやり直しを、子供に押し付ける。ある種のステージママなんですよね。

■相談できる人はいるか?■

現実には、有名大学に進学すれば、医者になれば、人生は何の苦もなくなるか? んなことはありません。実家が裕福で、京都大学を出て、超一流出版社に勤務して、ヒット作を多数創り、編集長になって、妻殺害の容疑で起訴され有罪判決の人生もある。知り合いに、ラ・サール高校から現役東大、一部上場企業の研究者という人間もいます。人もうらやむ学歴。でも転職し、自分の従兄弟で高卒の人間と同じ商売に就いていたり。でも、本人は今の方が充実している訳で。

大学出たり、医者になった経験がある人間なら、もっと具体的な経験から言えるアドバイスがあるでしょう。でも、この母親には、そういうアドバイスをしてくれる人間も周囲におらず、彼女の中では医者になりさえすれば、という思い込みが信仰の域に達していたのでしょうね。そんな妻に、夫は仕事を理由に逃げたのでは……という疑いを、自分は感じてしまいました。勝手な憶測です。でも、夫の愛情が冷えたからこそ、娘への狂気は深まった可能性。卵が先か鶏が先かは解りませんが。

■自殺か他殺かの択一■

ステージママ、と言えば宮沢りえさんの母親──りえママ──を思い出しました。彼女もまた、娘を使って自分の人生をやり直そうとした人。結果的に、娘と貴乃花との結婚をぶち壊しにしてしまった。その後の、宮沢りえさんの激ヤセは、娘から母親への無意識下でのメッセージだったわけですが。豊満な肉体で魅力的であった彼女は、激ヤセすることでタレントとしての商品価値を、自ら毀損したわけで。

精神的虐待を受けた子は、自殺するか、他殺するか。拒食症になってガリガリになるのも、自殺のバリエーションです。他殺が、母親に向かうのはまだマシな方で。加藤智大死刑囚の場合は、他人に向かった。巻き込まれた人間はたまらんです。話はズレますが自分には、辛淑玉ジラ女史の日本批判・天皇制批判は、家庭内では専制君主のクセに朝鮮総連には何も言えない内弁慶で家父長制の権化であった実父への、逆恨みの八つ当たりだと思っています。

■子は親の所有物には非ず■

日本では、子は親の所有物という考えが、古くから根強くあります。これは日本だけではなく、東アジア型専制君主国家の影響が強い国──中国と北朝鮮と韓国と日本と台湾──が、そうです。親のために娘が身売りされる文化が、これらの国には近代以前には色濃くあった理由です。たぶんに、儒教の文化の影響が理由なんですが。近代的な人権感覚とは、異質ではあります。

とはいえ、ステージママという言葉が欧米にもある以上、やっぱりそういう、子供に異常な期待をかけるのは、洋の東西を問わないのでしょう。程度の差はあるのでしょうけれど。親の経験値や見識が狭いと、適切なアドバイスは難しいでしょう。親と子の、狭い世界になってしまう。そういえば、医者になることを父親から強要されて、SMAPも知らないぐらい娯楽を制限され、成績低下で自宅に放火された息子も、奈良にいましたね。アレは親が医者でしたから、視界狭窄は誰でも起こりうる、ということでしょう。

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