安倍元総理の理念

◉池田信夫氏による、なかなか過激な内容ですが。個人的には賛同できる部分と、できない部分はあります。ですが、安倍晋三元総理大臣が、日本では稀有な国際的な視野を持ち、それが国際社会において受け入れられていた、という部分は間違いないでしょう。対米追従かといえばそうでもなく、欧州からも評価されていましたし、中東のイスラム教国からも、一定の信頼を得ていた。そして、Quadrilateral Security Dialogue=QUADを提唱した。ではなぜ、それを提案したか?

【今こそ安倍晋三氏の「反共」の理念が必要だ】アゴラ

安倍晋三氏は、日本には珍しい「グランドデザイン」をもつ政治家だった。この暗殺事件のきっかけになった(と犯人が供述している)2021年9月12日のビデオメッセージを見ると、彼が単なるあいさつ以上の話をしていることがわかる。
(中略)
彼がここで強調しているのは「台湾海峡の平和と安定」である。1950年に朝鮮半島で起こったような事態が、これから台湾で起こらない保証はない。そのとき必要なのは、全体主義と戦う「自由で開かれたインド太平洋」の結束だという。これは中国の封じ込め戦略である。
ニクソン政権以降、アメリカは中国が経済発展すれば民主化すると信じて融和政策を続けてきた。中国の経済は「開かれた太平洋」でグローバル化したが、政治はさらに強大な全体主義になった。その誤りを改め、中国を包囲する政治・経済圏にインドを入れようというのが、安倍氏の提唱したQUADの理念である。それは日米豪印の国際勝共連合なのだ。

https://agora-web.jp/archives/220815065744.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、世界地図です。

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■マキャベリズムの国■

本来ならば、ソビエト連邦という国家は、ナチス以上に悪質な国家として、断罪されるべき存在でした。しかし、ヒトラーの暴走と機を見るに敏なスターリンの政治手腕、そしてルーズベルト大統領とニューディーラーの共産主義への寛容が、その存在を甘やかしてきた部分はあります。国連の常任理事国に、戦勝国としてスルリと収まった。記事にもあるように、ニクソン大統領も融和的でしたしね。ただ、ニクソンは現実的な政治家で、レーガン政権ではソビエト連邦つぶしの策を、裏で授けていたようですが。

スターリンはある意味で、六韜三略やマキャベリズムの体現者であり、独裁者でありながら畳の上で天寿を全うした人物。まぁ、西欧の人間に畳の上ってのはアレですが。いずれにしろ、ソビエト連邦はKGBという組織を最大限に使い、上手く敵対国の内部から切り崩したんですよね。孫子の兵法で重視された用間、つまり間者(スパイ)を用いて少ない労力で相手を内部撹乱し、分断を煽り、敵を弱体化する。小田実氏ら進歩的文化人(笑)のベ平連が、KGBから資金提供を受けてたことが、今はバレています。

■現代に生き残った帝国■

安倍晋三元総理の理念は池田氏が書く反共というよりも、今世紀になっても延命した帝国主義国家の封じ込め、でしょうね。実際問題として、ロシア連邦も中華人民共和国も北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)も、内実は帝政ロシアであり皇帝制度の中華帝国であり、東アジア型専制君主国家型の世襲王朝ですから。第二次大戦後、多くの王政の国も立憲君主制に移行して、19世紀20世紀の帝国主義、国王親政とは距離を置き、変わったわけで。でも露中朝の3国は、前世紀の遺物を未だに引きずっている、前近代的な非民主主義国家です。

これは、例えばイスラム教が国教の中東の諸国ともまた違う、特殊な面がありますね。特にロシア連邦はウクライナへの武力侵攻と、その蛮行によって、実は77年前の終戦のドサクサで満州でやらかした頃と、ほとんど変わっていないとバレた。それどころか、日本人のシベリア抑留と同じことを、ウクライナに対しても現在進行系でやっているわけで。帝政ロシアから社会主義革命を経ても、その本質は何も変わっていない。それは、李氏朝鮮と何も変わていない北朝鮮も同じです。

■戦後民主主義の申し子■

中国は、北朝鮮のような世襲制こそ採っていませんし、それはソビエト連邦もロシア連邦も同じです。でも、スターリンやブレジネフやアンドロポフなど、ソ連の指導者は全員、現代の皇帝のように、亡くなるまで権力の座を手放しませんでした。フルシチョフのように失脚しない限り。それは、中華人民共和国王朝の初代皇帝である、毛沢東も同じです。プーチン大統領も、制度を恣意的に運用し、大統領職と首相職を行きつ戻りつし、独裁政権を構築していますしね。でも、世襲なき独裁政権という意味で、皇帝制度とほとんど変わらない。北朝鮮が特殊なだけで。

民主主義には民主主義で、悪い面はあります。容易に衆愚政治に陥りますし、あるいは不正や汚職に走ったり。でもこれは、独裁国家のほうが酷いですしね。民主主義もある種の疑似王政ですが、それでも悪王を陶片追放できるわけですから。残念ながら、そういう選挙の結果を受け入れられない方々が、自称リベラルでありながら、党首が何年も権力の座にある独裁的な党を支持していたりという、奇妙なネジレがあります。安倍総理はイメージとは違って、実際はかなり戦後民主主義を尊重しています。

【緊急事態宣言発令後に、安倍首相に会って僕が確かめたこと】アゴラ

田原総一朗です。
新型コロナウイルス問題が、世界中を危機に陥れている。
安倍首相は、ついに4月7日、7都府県に「緊急事態宣言」を出した。
僕は、10日に首相官邸を訪れ、安倍首相に会った。
「緊急事態宣言が非常に遅れた。なぜこんなに遅れたのか。財務省が強い反対をしていたというが、それほど反対したのか」と、僕は率直に聞いた。
安倍首相は、「そうではない」と言った。
実は「ほとんどの閣僚が、緊急事態宣言に反対していた」という。

https://agora-web.jp/archives/2045447.html

■呪術に走るリベラル■

祖父の岸信介は国家社会主義者で、ある意味で左翼です。実際、その政策は岸の政策ということを隠して見せれば、左翼は大喜びの政策です。大減税、国民皆保険制度、最低賃金制度、国民皆年金制度、アジア各国との戦後保証、国連での英米の核実験批判……。日米安保改定で岸にコテンパンにのされた60年安保の学生たちは、その内実も岸の先見の眼も見ず、自分たちの敗北感から逆恨みし、彼らが考える悪しき部分を、全部投影しましたが。現実には、岸も安倍晋三元総理も、そこまで極悪非道かと言えば、違うわけで。

さらに、欧米では緊急事態宣言のもと、政府の出した要請に反すれば罰則がある。
罰金、あるいは逮捕もありうる。
ところが日本では、罰則規定がない。
「これでは少なからぬ国民が、守らないのではないか」と聞いた。

安倍首相は、「こういう時に罰則規定をもうけないのが、戦後日本の体制である。それをやると圧政ということになる」と言う。

https://agora-web.jp/archives/2045447.html

朝日新聞OBの稲垣武氏が指摘したように、日本の左派は戦後、論的を悪魔化し、その悪魔を祓えば正義や平和が訪れる、という非常に呪術的な対応を繰り返してきました。自分たちは高学歴なインテリと自認していたでしょうけれど、それって戦前の軍人官僚と同じ。無自覚の言霊信仰によって、相手を祓い清めるという、非科学的発想なんですけどね。それは呪術であって、政治ではないです。安倍晋三総理の評価は、ロシア連邦・中華人民共和国・朝鮮民主主義人民共和国が倒れ、政体が変わらないと、左派には認められないでしょうね。ロシア連邦のウクライナ侵攻で、だいぶボロボロになりましたが。

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