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井上尚弥選手がパウンド・フォー・パウンド1位に

◉パウンド・フォー・パウンド、略してPFPとも書かれますが。ボクシングにおいて、同じ体重なら誰が最強かを比較する言葉です。かのモハメド・アリが、ウェルター級・ミドル級王者のシュガー・レイ・ロビンソンを評して、パウンド・フォー・パウンドなら彼が最高と語ったように。ボクシングは体重制ですから、そりゃあ全盛期同士で戦っても、ヘビー級のアリが勝利するでしょう。でも、そこを超えたところで、リスペクトを込めた言葉ですから。日本人がパウンド・フォー・パウンド1位。今後現れないかもしれない、凄いことです。

【井上尚弥「誰もたどりつけなかった場所」日本人初PFP1位!米誌ザ・リングが世界最強1位発表】日刊スポーツ

プロボクシングWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)が、ついに全階級を通じた「世界最強」ボクサーに選出された。世界的にもっとも権威のある米老舗ボクシング専門誌ザ・リングが10日(日本時間11日)、階級を超越した最強ボクサーを決めるパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングなど各階級の最新順位を発表。井上が日本人史上初のPFP1位に選出された。これまで井上はPFP2位が最高だった。井上は公式SNSを更新し「日本人がこれまで誰もたどり着けなかった場所まで来た #pfp1 」と喜びをつづった。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ボクシングや格闘技用のイラストだそうです。

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■パウンド・フォー・パウンド■

シュガー・レイ・ロビンソンは、オールタイム・パウンド・フォー・パウンドとされますからね。リングネームの通りの華麗なテクニックに、現代ボクシングと比較しても遜色ない連打とコンビネーション、同時代の強者のほとんどと戦い、これに勝利してきた圧倒的な戦績。のみならず、内容も名勝負が多く、そのカリスマ性も含めて、ホラ吹きクレイと呼ばれたモハメド・アリでさえ、尊敬する最強王者。欧米では軽視されがちなバンタム級の井上尚弥選手が選ばれるってのは、かなり凄いこと。

世界的な人気や、層の厚さを考えると、これはもうサッカーやラグビーのワールドカップの最優秀選手レベルです。五輪なら、金メダルを1大会で3個獲得した陸上選手みたいなもの。いやぁ、すごい。井上選手は3階級制覇に3団体統一、このまま行けば4階級制覇、ひょっとしたら5階級制覇も狙えるかもという、素晴らしい選手ですが。まさか、ドネア選手をあそこまで圧倒するとは。ドネア選手だって、名選手中の名選手です。負けた後の態度を観ても、人格も備えた名王者。

■快挙と言うには快挙すぎる■

日本にも、名王者はけっこういます。かのマイク・タイソンが、ボクシングの試合ビデオのコレクションに加えていたファイティング原田さん、ライト級ヘビー級の次に古い、世界的にも層の厚い階級で5回防衛したガッツ石松さん、ジュニアフライ級(現ストロー級)で13回の防衛を果たした具志堅用高さん、事実上の統一王者で10回防衛の渡辺二郎氏などなど。でも、パウンド・フォー・パウンドでは、トップ10にランクインするのは、現役時代でもなかなか難しかったでしょう。

なにしろ、階級を超えての評価ですから。その階級で圧倒的な結果を出さないと。自分らの世代だと、大橋秀行さんを完膚なきまでに叩きのめしたリカルド・ロペス選手。アマチュア戦績40戦全勝で、プロになっても 52試合で51勝0敗1引き分け、WBC世界ミニマム級王座を21度防衛みたいな、もう階級に敵無しぐらいの圧倒的な結果を出して、2階級制覇して、ようやくランクインする世界というイメージです。そこに日本人が入るだけでも凄いのに、1位ですよ。なんかもう、信じられません。

■リスペクトなき誹謗中傷■

ところが、この井上尚弥選手がドネア選手に勝利した翌日、「え、トレンド入りしてるボクシングの試合、53kgの人たちの戦いなの?笑 それやる意味ある?53kgとかもう女の子じゃん笑」と、スポーツに敬意を払えない、恥ずかしい方もいらっしゃいます。別に、スポーツに興味がなくてもかまわないし、ボクシングが危険な競技と禁止を言うのもまた、その人の自由です。しかし、なんですかね、この他人を小馬鹿にした態度は。コレも言論の自由ですが。

ツイ消ししたて証拠隠滅したときように、スクショも。

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呆れますね。なんかもう、人間性がにじむツイートで……。

■筋力の話■

試合や、上記日刊スポーツの記事のリンク先を見ればわかりますが、井上選手は大胸筋にも筋肉の縞模様(ストリエーション)が入るような、かなりの減量で臨んでいます。自分の経験からすれば、体脂肪率10%どころか、6%かそこらまで絞り込んでいます。体脂肪率20%で76.6キロの人間が、そこまで絞ればもう65.8キロです。165.2センチの井上選手なら、標準体重は59.9です。50.4で痩せすぎと判定される体重です。あれだけ発達した筋肉を見て、こういう浅薄なことを言ってしまう。

ちなみに、パワーリフティングの世界王者でもあった因幡英昭選手の、56キロ級のスクワットの保持していた世界記録が242.5キロです。現在は59キロ級の佐竹優典選手の日本記録が262.5キロです。フルギアでは59キロ級の田村陽選手がベンチプレスで200.5キロを叩き出しています。ちなみに、女子のフルギアのベンチプレスの日本記録は、赤川智子選手の125.5キロです。これだって、とんでもない記録です。一般のスポーツ選手は、スクワットは体重の2倍、ベンチプレスは体重の1.25倍で一流です。下記リンクも参照。

https://www.jpa-powerlifting.or.jp/pdf/record/jrec-eq-20211114.pdf

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