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京アニ放火事件から2年

◉2019年7月18日、京都府京都市の京都アニメーション第1スタジオで発生した放火殺人事件から2年。もう2年か、まだ2年かと言われれば、まさ2年ですね。失われた人名は36人。負傷者は34人。日本のアニメーションスタジオとしては、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん!』の大ヒットで、世界的にも有名な存在で、オウム真理教による長期間の犠牲者29人を超える、痛ましい事件でした。

たった1人の狂人が引き起こした事件としても、特筆すべき大事件です。日本では戦前の津山事件で、30人の犠牲者が出たのですが。単独犯としては未曾有の犯罪です。たった1人の、自意識過剰を拗らせた愚か者が、合計で70人もの才能も未来もある人間の人生に、心にも体にも、大打撃を与えたのですから。犯人は最低最悪の大量殺人犯として、名を残すでしょう。

こう書くと、犯人に同情を寄せて、言い過ぎだのと言い募ってくる偽善的な方もいるでしょう。そういう逆張りも、言論の自由の内ですから、ご自由にどうぞとしか。自分は京都の大学やアニメの専門学校でも教壇に立っていて、アニメーターになった教え子もいます。今だから書きますが、事件直後に連絡が取れなくなった子もいて、マジに心配しましたから。幸い、その教え子は難を逃れたのですが。

自分程度の関わりでも、これほどのショックを受けたのですから、実際に家族が傷ついた方、理不尽に命を奪われた方の、心の痛みはいかほどか。噂ですが、まだ退院できていない方もいるとか。犯人を擁護したい方は、同情した方は、幾らでもどうぞ。自分は犠牲となった方々の才能の価値を、多少なりとも知る者です。故に、その人々の奪われた未来に想いを致しますので───。

昨年は『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が大ヒットし、今年は久しぶりのテレビアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』も放映が開始されました。まだまだ完全復活とは行きませんが、少しずつ、日常を取り戻しつつあります。新作アニメを普通に制作できるまで、数年はかかるでしょう。アニメーターは全国に6000人ぐらいしかおらず、人材を育てるにはそれだけ大変です。

しかし、犯人が恐慌に走る切っ掛けになった小説の京都アニメーション大賞も、募集が止まったままです。犯人が奪ったのはアニメーターの命だけでなく、小説家の卵たちの未来でもあります。KAエスマ文庫の方でも、新たな才能が育つ体制を、構築していたのに。こちらも、いつ再開されるかはわかりませんが、京都アニメーションの体制が整ったら、新たなスタートがきれることを切に願います。

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ