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是枝監督らが映画業界の共助目指し新団体設立

◉映画業界全体の収益の一部を徴収し、支援金として再分配するフランス国立映画センターのようなシステムを日本にも導入することを目指して、是枝裕和監督らが『日本版CNC設立を求める会(通称:action4cinema)』を立ち上げたそうです。映画界自体の〝健全な〟富の再分配は、悪いことではありません。

【日本映画、最高益でも働く人の6割は年収300万円未満...是枝監督ら共助目指し新団体】東京新聞

 是枝裕和さんを含む映画監督らが14日、東京都内で会見し、映画業界全体の収益の一部を徴収して支援金として再分配する仏国立映画センター(CNC)を念頭に、日本でも共助のシステムの導入を目指すための団体を設立したと発表した。会見した諏訪敦彦監督は「一部の会社が恩恵を受けるのではなく、業界全体で収益を分け合い、(業界で働く人を)自律的に支援する団体が必要だ」と強調した。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、映画のカメラのイラストです。

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■平田オリザイズム?■

東京新聞の見出しでは、共助が強調されていますが。記事を読むと、別の側面が浮かび上がってきますね。日本政府の支援が少ないことを持ち出していますが、要はいつもの公助にタカる映画人の、いつもの言い分。まぁ、たかる相手が国から配給会社に変わっただけでは、という疑義も出てきます。

 19年の日本政府の映画支援の補助金は35億円。一方、仏CNCは同じ年に410億円を映画製作や企画、配給などの支援に回した。韓国にもKOFICという同様の団体がある。西川美和監督は会見で「仏では映画界が強靱な団体を作ったが、日本には相当するものがない」と必要性を訴えた。

例えば、他業種を見下しまくって、各方面から顰蹙を買った演劇界の平田オリザ氏ですが。イギリスの王立演劇学校を日本に導入したがっていますが。けっきょく、そういう組織に入り込んでの利権を狙ってる疑いが、過去の言動から見えるのですが。日本版CNCもそういう役員利権や、分配で利権の場にならないのか? 不安はつきまといます。

■フランス映画界の状況■

さて、古い資料ですが2015年のフランス映画界の 1億9360万人で、チケット単価は平均6.5ユーロ。本日のレート1ユーロ141.10円で単純計算すると、1775億6602万2100円。こういう数字を見ると、フランスCNCの410億円というのが、いかに巨大な利権か。CNCが2019年に映画・テレビ・分野横断的領域などに行った支援総額は6億9640万ユーロ(1ユーロ=120円換算で約835億6800万円)。

では財源はというと、下記リンク【『フランスにおける映画振興に対する助成システム等に関する実態調査 報告書』のためのささやかなガイド】の情報によれば、映画館入場料税(TSA=10.72%)、テレビ放送の広告および配給に対する税(TST=5.15%)、ビデオおよびビデオオンデマンドに対する税(TSV=5.15%)など。あれ? 映画の収益に対して、あまりにCNCの補助金が大きすぎると思ったら、けっきょくは税金が主ですか。

■邦画の状況は?■

では、邦画界はどうかというと、映画ドットコムの記事によれば、2021年の年間興収は洋邦併せて1618億9300万円。2019年の史上最高額の2611億8000万円と比較すると、コロナ禍による落ち込みは、言うまでもなく。2022年は『シン・ウルトラマン』や『トップガン マーベリック』が牽引して、復活してほしいですが。記事の要点をまとめ、自分が調べた数字を加えると、こんな感じです。

・2021年公開の邦画490本(前年506本)
・邦画の興行収入は1283億3900万円
・興収10億円以上32本(前年21本)
・32作品の興収総計は898億9000万円
・興収50億円超えの作品は3本
 シン・エヴァンゲリオン劇場版(102.8億円)
 名探偵コナン 緋色の弾丸(76.5億円)
 竜とそばかすの姫(66億円)
【2021年の映画年間興収は1618億円 邦画は32作品が“興収10億円以上のヒット”で回復傾向】映画ドットコム

 日本映画製作者連盟(映連)の新年記者発表が1月25日に行われ、2021年の全国映画概況が発表された。
 年間興収は1618億9300万円。2000年の興収発表以降、最低の数字(1432億8500万円)を記録した前年比113%となった。20年度の数字を上回ったものの、00年以降に視野を広げると下から2番目の記録だ。また、19年の史上最高(2611億8000万円)との対比は62%となっている。

■なら、アニメをバカにするな■

邦画全体の93.4%が興収10億円以下の作品で、わずか上位6.6%の32作品で全興収の約70%を占めており、さらにトップの3作品で約19%を稼ぐ状況。是枝裕和監督らは、フランスCNCの税金については言及しておらず、あくまでも業界の共助による再分配を訴えているようですが。つまり、アニメの稼ぎを分配しろ、と?

ならアニメに対し差別的言動を繰り返す、平田オリザ氏の弟子の監督や、パンケーキを毒見すると息巻いたプロデューサーを批判し、アニメを年間ランキングから外す映画芸術に「アニメを差別するなら、自分の作品も投票対象外にしろ」とでも言えば、カッコいいのになぁと思うんですけどね。

■自助・共助・公助の問題■

公助でも共助でもいいんですが、まずは93.4%のヒットしない映画を、85%ぐらいに減らす方が得策じゃないでしょうか? つまり、自助。当たらない映画の予算を、実績のある監督に回す方が、むしろ業界全体の収益は上がるんじゃないでしょうかね。例えば、『大怪獣のあとしまつ』の予算を、『シン・ウルトラマン』に回せば、もっと完成度が高まり、利益を生んだ可能性。

屋根の雨漏りを修理せず、バケツの数を増やしても意味がないでしょ、といういつもの話になるのですが。プロ野球の三軍や育成選手に、一軍のスター選手並みの年俸が払えないには当たり前でしょうに。これは、才能のない新人アニメーターやお笑い芸人の若手が、貧乏するのと同じ問題。日本を共産主義国にしたいが本音なら、そう言うべきでは?

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