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エネルギー関連ネタ2題

◉なにやら、欧州の方も理念先行の脱炭素・脱原発が無茶振りだと、気づき始めたようで。現実的には、そういう理念を先行させても原理主義に陥るだけ。現実的には、水力・火力・原子力をベース電源に、風力や太陽光などを地域性に合わせて補助的に使うのが、平凡ですが現実的な解党なのでしょうね。そして、原子力は第四世代の原子炉が、これからの主役になりそうです。SMR(Small Modular Reactor=小型モジュール炉)は、各国で力を入れています。

【小型原子炉、開発加速 脱炭素へ主要国後押し―「ハードル高い」の声も】時事通信社

 従来の原発より出力が小さい「小型モジュール炉(SMR)」が脱炭素社会に適した次世代技術として注目を集めている。米国など主要国の後押しを受け、メーカーが開発を加速。発電量が天候に左右される風力、太陽光など再生可能エネルギーの弱点を補う「安定性と柔軟性」(米企業)に期待が高まる一方、コスト面から専門家の間には商用化に慎重な見方もある。
(中略)
 SMRは、脱炭素の機運が急速に高まる中で、小回りの利く安定電源の候補として浮上した。米国やカナダ、英国が開発資金を拠出しているほか、昨年10月にはフランスのマクロン大統領も巨額投資の方針を打ち出した。日本でも萩生田光一経済産業相が今月6日、SMR開発をめぐる国際連携に政府が協力する方針を明らかにした。

ヘッダーのイラストはnoteのフォトギャラリーから、志賀原子力発電所だそうです。

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■アメリカの本気度■

誤解もありますが、SMRは原子炉の形態であって、第四世代原子炉は多種多様なものが研究されています。その中でも、超高温ガス炉がもっとも商用路に近いわけで。高温ガス炉に関しては記事によれば、《出力7.7万キロワットのSMRは米当局の許認可手続きで先行し、2027年の稼働開始を目指す。》とのこと。イギリスは2029年の商用原子炉稼働を掲げていましたが、アメリカもそんな感じだったんですが。気がつくと2027年と、前倒ししていますね。

中国の高温ガス炉は、商用実証炉が昨年9月に臨界に達しましたから。ここで各種データを採って、3年から5年後に商用炉の稼働という感じでしょうかね。原子力の研究では世界最先端のアメリカとしては、こういう状況は許せないでしょうから、ペースを上げてきた感じでしょうか。日本は、そこからどこまで遅れずについていけるか? 小型モジュール炉の名のとおり、小型で出力は第三世代原子炉の3分の1程度ですが、安全性が高いので。あと、ロケーションを選ばないのが良いですね。

■水素や石炭液化にも高温ガス炉■

アメリカが稼働を2年も前倒ししてきたと言うことは、あと5年で第四世代原子炉が本格的稼働と。5年なんてあっという間。日本が、無能な方の菅総理の愚策で研究さえストップしてる間に、世界はどんどん先に進んでいるんです。非科学的な反原発派は、そこを先ず認めるべきでしょう。アメリカやイギリスで高温ガス炉が稼働すれば、そのモジュール化された建設方法によって、日本への輸出もスムーズに行くかもしれませんし。

とは言え、現状では2031年頃になるかもしれませんが。個人的には、高温ガス炉は期待が大きいです。高温を利用した原子力製鉄に加え、水素の生成、石炭の液化など、多方面での応用も期待されますからね。そもそも、トヨタが推し進める水素エンジンとも、燃料供給で生きてきますし。EV車の夜間電力供給にも、ベース電源として原発は必要不可欠。飛躍した非科学的な反原発派は、かえって安全を棄損する面も。

■アンモニアの可能性■

一方、火力発電も石油・天然ガス・石炭に加えて、アンモニアが燃料として注目されています。アンモニア自体は、古代エジプトでも使われていた、ありふれた物質ですが。それ自体が燃えるし、また水素を液体にして運搬する物質としても、重要なんですよね。常温で液体ですから。もちろん、燃えると言っても液化炭素や水素と違って、勢いよく燃えるわけではないので、燃焼の工夫や、他の物質と混ぜての〝混燃〟が重要になります。そこで、石炭との混燃実験がスタート。

【石炭火力でアンモニア「混焼」、政府がインドネシアで脱炭素事業に参画へ】読売新聞

 政府は、インドネシアでアンモニアを石炭に混ぜて燃やす石炭火力発電事業に参画する。二酸化炭素(CO2)を排出しないアンモニアとの「混焼」を東南アジアで展開し、石炭火力への国際社会の理解が広がることを目指す。
(中略)
 日本は、短期間のうちに再生可能エネルギーに切り替えることが難しく、石炭火力は当面必要との立場だ。岸田首相はCOP26の演説で、アジアで燃料をアンモニアに切り替える事業などに1億ドル(約115億円)を投じる考えを示していた。

けっきょく、劇的な変化はそうそうなく。地道な研究と積み重ねしか、現状は変えられないし、変わらないんでしょうね。日本の石炭火力発電を、欧州は目の敵にしていますが。日本の石炭火力発電所は、かなり高性能ですから。これにアンモニアの混焼が上手く行けば、他の燃料との混焼実験にもつながるでしょう。アンモニアの利用は他とも地続き。今後の研究に、焦らず地道に期待しましょう。

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