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妊活・不妊治療の聞き取り調査

少し前にオンラインで妊活・不妊治療についての調査を受けた。
現在、妊活や不妊治療をしている人、または過去にしていた人が対象で、X (Twitter) 経由で知り申し込んだ。

事前に質問内容がメールで届いたので、数日かけてまとめた。当日いきなり質問されていたらとても答えられなかったと思うので、事前に一覧を送ってもらえて助かった。

質問は全部で20項目ほどあり、大きく分けると…

◆自分自身のこと
・妊活に対する思い
・不妊治療の具体的な内容、かかった費用
・治療中の周りの人や職場との関係  など

◆社会における妊活・家族のこと
・出生率や少子化対策
・子どもを持つ、または持たない選択
・養子や里親について  など

何度も質問を読み返したり書き直したりしながら、じっくりまとめていった。
不妊治療の内容や、治療中のパートナーとの関係など具体的なことはすらすら思い浮かんだけれど、まったく思い浮かばないものもあった。

中でもわからなかったのは
「"母親になること"は何を意味しますか?」
との質問で、私の回答は
「自分が成長できる、視野が広がる」
と、絞り出した答えがこれ。考えたこともなかったので悩んだ。

他の皆さんはどのように答えたのか、どんな答え方があるのか興味がある。


治療を振り返って

経緯をまとめるにあたり、もう見ることはないと思っていた書類をクローゼットの奥から引っ張り出す。
大量の支払い明細や治療についての資料など。

当時はしんどい思いをしていたはずなのに、記憶がかなり薄れており、まるで人ごとのような感覚で自分でもびっくりした。
初めての採卵の後、痛すぎて泣いたことや吐きそうになったことだけは今もはっきり覚えている。
しかし、自己注射や点鼻薬、指定の時間に薬を飲むなどの細かい記憶はおぼろげで、指示書を見てなんとなく思い出せた。

そして振り返っていくうちに、通院の行き帰りには神社でお参りをしていたことを思い出し、涙。
夫と並んで行きにはお願いを、そして帰りには報告するのが恒例だった。
どういう感情かわからないけれど、その時の風景を思い出すとホロリときてしまう。


印象に残った言葉

今回やりとりさせてもらった先生は、「妊活と多様化する家族の形」について研究している方だった。
明るい雰囲気の女性で、こちらの言葉をひとつひとつ丁寧に聞いてくださる印象。

今抱える悩みを聞いてもらったりもしながら、まるまる2時間お話しした。
自分の気持ちにも向き合えて、また言葉にすることで再確認できたこともあり、想像していた以上に有意義な時間だった。

私の考え方や悩みに対しての先生からの返答で、心に残ったものがいくつかある。
以下、黒い部分が先生のお言葉。


子どもができなかった今、自分の中にある感情は「喪失感」というより「疎外感」である。
(職場や友人の中で子なしは私一人のため)

あと何年かしたら、周りの人たちが今してるような子どもの話はしなくなる(子どもが成長し、手を離れていくので)。
周りのみんなは子どもの話で楽しく盛り上がってるように見えて、実は全員が楽しいと思っているわけではないかもしれない。
なので、疎外感を感じて悩むことはない。


親 (夫と私のどちら側も)に孫の顔を見せられず、申し訳ない気持ちがある。
特に夫は長男なので。

血を受け継ぐことで言えば、義弟にも実弟にも子どもがいるのだから、もう悩まなくていいんじゃないか?
気にすることはない。


"あなたにとって「子どもを持つこと、母親になること」とは?"
という質問に私が「自分自身が成長できる機会」と答えたことに対し、

周りで子どもを持ってる人はみんなそうなってる?(成長できてる?)

と聞かれ、「いやそうじゃない人もいる。自己中心的で周りが見えてない人、わがままな人もいる。」と、とっさに答えていた。


などなど…
この2時間のやりとりの中で、私は職場での人間関係がしんどいこと(会話が子どもの話中心)を何度か口にした。
そのことについて最後に先生から
「一歩引いて俯瞰すれば今より気持ちが楽になると思う」
というようなお言葉をいただく。

簡単にはいかないと思うが、これができれば生きづらさが少しはましになると思う。

今回このような機会があり、当時の気持ちの面や金銭面、経験したこと、夫とのやりとりなどなど振り返ることができた。
そして、先生からかけてもらった言葉によって、くよくよしていたことがいくつか解消されたのもありがたい。

言葉足らずで調査のお役に立てたかはあやしいけれど、思い切って参加させてもらってよかった。

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