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《会話劇》スギウラ君とコタニさん

「あー、ちくしょう、めっちゃ濡れちまった。予報じゃ降らないって言ってたのに、なんなんだよ… 。」

「濡れちゃったって、いいじゃない。」

「わっ!…だ、誰だよジイサン。」

「へへっ。予報外れの雨に、打たれる時だってあるさ。それもまた、いいじゃない。」

「だから誰なんだよ、ジイサン。」

「ジイサンジイサン言うけども。」

「あ?」

「実はこう見えて、来月還暦。」

「マジか?80くらいに見えるぞ…。」

「見た目はジイサン、中身はギリギリオッサン。」

「いや、引用するセリフが還暦前とは思えねえよ。」

「ジッチャンはこの中にいる!」

「違うやつになってるよ。しかも大胆に間違ってるし。ていうか、やっぱりジイサンじゃねえか。」

「てへぺろ。」

「おい、さっきから何なんだよ!そもそも俺に何の用なんだよ!」

「濡れちゃったって、いいじゃない。」

「お、おお…話を戻しやがった…。いや、見ろよ、ほら。こんな濡れてんだぜ?どう考えたって最悪じゃんかよ。」

「いやいや。濡れちゃったって、いいじゃ…

「おおい、待て!ジイサン傘持ってんじゃねぇか」

「その通り、私は全く濡れてな…

「傘持ってるやつが傘無くてビチョヌレのやつに『濡れちゃったって、いいじゃない』って…ナメてんのかコノヤロー。」

「待て待て青年よ、気持ちはわからなくもないが、少し落ち着きなさい。いいかい青年よ、人生はね、いろんな事が起こるものなんじゃ。いい事も悪い事も。」

「なんだよジイサン…。」

「良い事を良いふうに捉え、動き、さらに良くしていくのは青年自身じゃ。悪い事を良い事への前振りと捉え、動き、変えていくのも青年自身なんじゃ。」

「なぁジイサン、その話、長くなるか?」

「あらぁ、やっぱり話を聞く気がない?すまんすまん、もう終わりにする。」

「あぁ、そうしてくれよ。」

「まぁ、あれだよ。ここで会ったのも何かの縁。青年の心に何かが響いてくれるなら、私は嬉しいのだよ。というわけで、ほれっ。」

「え、傘?」

「私のものを使いなさい。」

「いや、でも、ジイサンが濡れちゃうじゃんか。」

「濡れちゃったって、いいじゃない。」

「俺もう濡れちゃってるし、大丈夫だって。ほら、なんか悪いし。」

「いやいや、さっき青年が悪い出来事だと思った雨を、こうして今、良い出来事に変えて終わろうじゃないか。」

「ジイサン…ありがとう…。」

「なになに、これしきのこと。最後のなるが、この御縁に、青年の名を聞いておこうかのう。」

「スギウラ…です。」

「うむ。スギウラ君。覚えた。ではまたどこがお会いできることを願っておる。」

「ま、待って。ジイサ…貴方の名前も。」

「コタニじゃ。」

「コタニさん…ありがとう。」

「見た目はジイサン、中身はギリギリオッサン、名探偵コタニ」

「クソジジィ、おい。」

「ふふっ。スギウラ君よ、君も良い人生を送りたまへ。ではでは。」

「ありがとうジイサン!走ると危ないぞ、気をつけてな!…え?…何やってんの?なんでギャルに話しかけてんだよジイサン…あー!!マジかギャルと相合傘ー!?ソレやる為に俺に傘を!?チクショー、クソジジイ!…ずるい。」

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