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2017年4月の記事一覧

彼は独りで甘く眠る

彼は独りで甘く眠る

 握りしめていた手のひらの中で、「秘密」がぐにゃりと溶け出しはじめた。

 私はそれに気づきながらも、手を開くことはしなかった。かわりに息をゆっくりと吸い込み、あいている手で筆を動かす。

 私の体温で少しづつ形を失ってゆくそれは、甘いミルクの匂いを漂わせながら、彼の存在を色濃くさせてゆく。居ないはずなのに、彼が近くに居るのだと、つい錯覚してしまう。そのたびに私の心臓は小さく高鳴り、必ず痛みを連れ

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