残念なお知らせ
当ジム、ドラゴンズデン所属の黒滝裕紀さん令和6年2月28日享年49にてご逝去されました。
ご冥福をお祈りするとともに謹んでお知らせ申し上げます。
黒滝さんは前身のパラエストラ川越時代、開設した2005年12月から通ってくれていた最古参メンバーの一人でした。
18年もの間通ってくれて、試合もたくさん出場してその長い時間を共に過ごした生徒というよりも家族、戦友でした。
僕は1974年生まれの74組、同い年ということもあって勝手に特別な感情があって絶対に黒帯にしたい人の一人でした。
毎年お正月には初詣してから鰻を食べに行くというのをやっていたのですが今年は元旦の地震で黒滝さんは仕事の関係で自宅待機になってしまい不参加でした。
『また来年一緒に行きましょう。』というLINEが最後になってしまいました。
道場のLINEにも書きましたが僕の中では一昨年暮れのパンクラスカップが終わった後に茶帯を渡そう『黒滝裕紀』の刺繍をいれた茶帯も準備していました。
結果は準優勝だったのですがそれでも評価は変わることはなく話をすると、黒滝さんは『次勝ってから(茶帯を)もらいます。』との返答。
後悔しているのはあの時に何が何でも巻いてもらうべきだったということです。
ずっと前からたびたび体調が悪くなるのは聞いていました。
けど練習は来るし、定期的にも試合に出場していたので黒滝さんから聞いていた病状をそのまま信じていました。
昨年は体調が悪いときが多くてタイミングが合わなくて出場出来なかったようでしたが定期的に練習には来てくれていました。
だから病気のことは本当にわかりませんでした。
しかしご遺族から聞いたところによると8年前に末期の癌と言われここまで頑張って来られたそうです。
8年ですよ。8年。
今年で千尋が生まれて8年です。
ずっと絶望の中、千尋の成長をみてくれていたんだ。
ずっとそんな状態を隠して少しの希望を信じて仕事はもちろん、柔術やボクシング、甥御さん姪御さんたち、うちの千尋まで可愛がってくれた。
僕は同い年、古参メンバーということもあって絶対に黒帯にするというか、したいという勝手な感情で厳しくしたときもありました。
それでもずっとついてきてくれて。
本当はすごく苦しかったんだと思う。
それなのに僕はもっともっと出来ると思って厳しい対応をしてしまいました。
すごく残酷なことをしてたんだと後悔しかないです。
そんな苦しい状態でも頑張ってついてきてくれた黒滝さん。
黒滝さんが最後に優勝した2021年のグランドインパクト、3位入賞の全日本マスター2022。最後の試合となったパンクラスカップ2022の動画をご遺族に見てもらいたいと思ってDVDにしました。
結果はわかっているのに本当に病気だったのか今でも信じられない、魂のこもった試合をしてるんです。
得意な技はディープハーフと三角絞め潰しでした。
決して使えた技は多くはなかったですがこのふたつは本当にスペシャリストだったと思います。
試合終了間際に決めた魂のディープハーフ。
最高でした。
勝ってもほとんど喜ばない。もっと喜んでよ。
僕は最後まで諦めない、気持ちのこもったまさにドラゴンズデン魂を体現してくれた【黒滝裕紀】という人間を絶対に忘れないし忘れたくはありません。
訃報を聞いた日からずっと18年間のあれこれを考えてます。
もっともっといろんなことを聞いとおけばよかったという後悔、もう後悔しか出てこない。
僕らがバカなことやってても一歩引いて笑っていた姿が今も忘れられません。
写真に笑った姿がほとんどない。
優勝したときくらいは笑ってよ。
そういえば白帯のときもライン6本まで青帯を巻いてくれなかった。
頑なな人。
ご遺族のお話でもほとんど笑った写真がないそうです。
遺影の写真も自分で用意していたそうです。
同い年とは思えない。
だけどめちゃくちゃ甥っ子想いの黒滝さん。
うちの千尋にも優しくしてくれた黒滝さん。
でも八王子の大会で高速降りる場所間違えて失格になったりと天然なとこもあった。
怒ったの全く見たことなかったけど奥冨くんの初優勝がかかった大会でそれを阻んだこともあったよね。
あれは確か奥冨くんが間違えて黒滝さんの帯を持って帰ってしまったのを一個上の奥冨くんの階級にエントリーして決勝で倒すという、、。
あれがうちの道場で初めての同門対決だった。
クレアモールを歩いていたらどんな人混みでも先に見つけてくる不思議能力。
一緒に大阪の試合にも出場したよね。
あの時はみんな負けちゃったけど次の日の京都旅行は楽しかった。
みんなで撮った写真の笑顔、この写真が一番好き。今はいないけどマサ、いい仕事したよ。
そう言えば今年の全日本マスターは大阪。
しかも黒滝さんのたぶん四十九日。
黒滝さん、誘ったら行ったかな?
よく甥御さんとUSJに行ったからってお土産買ってきてくれたよね。
今回、黒滝さんのカテゴリー13人もいるよ。
僕は前回試合して負けた人がエントリーしてる。
だからあの日を取り戻すためにも勝つよ。
もう負けない。
正直最近モチベーションがなくなってきてすごく辛かったけどそんなこともう言わないよ。
僕なんかの悩みなんて小さなことでした。
次の3月20日の大会は黒滝さんの最後の優勝、最後の試合をした横浜武道館。
なんかいろいろ巡り合わせなのかな。
もっと前には山梨のほったらかし温泉に連れて行ってもらったね。キジー、元気かな?
日の出を見ながらゆっくり温泉のつもりが温度が低くて寒かった。
日の出を待つまで車のなかで夜を明かしたときの怪談話が戦場カメラマンみたいな声で怖かったよ。
もう思い出すといろいろ出てくる。
なぜか身体がルースタークラスの若手に慕われてたよね。
今はもういなくなった会員とのやりとりとかも含めてめちゃくちゃ思い出すこの一週間でした。
本当は家族葬を希望してたみたいでした。
だからみんなにも声をかけたかったけど今回は現所属の方にしかお別れの声をかけれませんでした。
だって18年だよ。
あの人に声かけたら18年間でうちの道場に来てた人みんなに声かけなきゃいけなくなる。
黒滝さん、ごめん。
僕はもっともっと、ずっとずっと一緒に練習できるのが当たり前だと思い込んでました。
訃報を聞いた前日にふと最近黒滝さん来ないなー。そろそろ来るだろ。って思い出したところでした。
でも、いまはやっと苦しみから解放されたんだからゆっくり安らかにやすんでください。
8年もの間、よく頑張ったね。
お母さんから柔術が楽しいって聞いて嬉しい反面、めちゃくちゃ悔しかった。
悔いがあるよね。
本当に無念です。
もう靴箱にエメラルドグリーンのニューバランスはない。
黒滝さん、僕は寂しいけどずっとずっと忘れない。
黒滝さんと練習したこの場所を守っていくことが黒滝さんを忘れないことだと思う。
いつか終わりは来るものだけど僕は黒滝さんの分までやり切るからね。
本当、いままでありがとうございました。
そして黒滝さんに代わってお礼させていただきます。
マスター4ライトフェザーで戦ったみなさん、ありがとうございました。
黒滝裕紀、青帯最終戦以降の戦績
2017年
10月21日 墨田区総合体育館
関東柔術選手権2017
青帯マスター3 ライトフェザー級
初戦⚪︎P9-0
決勝⚪︎P7-0
※優勝
2017年12月
紫帯昇格
2018年
4月29日 大阪市中央体育館
西日本マスター柔術選手権2018
紫帯マスター3 ライトフェザー級
初戦⚪︎P3-0
決勝⚫︎P0-5
※準優勝
※紫帯初勝利
7月21日 墨田区総合体育館
イサミリバーサルカップ2018
紫帯マスター3 ライトフェザー級
欠場
12月15日 墨田区総合体育館
パンクラスカップ2018 マスター
紫帯マスター3 ライトフェザー級
決勝⚫︎AD0-1 PN1-0
2019年
4月14日 墨田区総合体育館
東日本柔術選手権
紫帯マスター3 ライトフェザー級
決勝⚪︎
※優勝
※紫帯初優勝
7月6日 墨田区総合体育館
修斗杯柔術選手権2019
紫帯マスター3 ライトフェザー級
決勝⚫︎AD0-1
9月28日 墨田区総合体育館
グランドインパクトイースト2019
紫帯マスター3 ライトフェザー級
初戦⚫︎P2-2 AD1-4
コロナ禍のため大会中止
2021年
7月22日 エスフォルタアリーナ八王子
東日本柔術選手権2021
紫帯マスター4 ライトフェザー級
欠場
9月26日 横浜武道館
全日本マスター柔術選手権
紫帯マスター4 ライトフェザー級
初戦⚫︎
11月6日 横浜武道館
グランドインパクト2021
紫帯マスター4 ライトフェザー級
初戦⚫︎レフリー判定
敗者復活戦⚪︎P2-0 AD0-2
決勝⚪︎AD1-0
※優勝
2022年
2月27日 東京武道館
全日本マスター柔術選手権2022
紫帯マスター4 ライトフェザー級
初戦⚪︎P3-2
二回戦⚪︎P10-0
準決勝⚫︎腕十字
※3位
4月23日 エスフォルタアリーナ八王子
東日本オープントーナメント2022
紫帯マスター4 ライトフェザー級
DQ
5月21日 エスフォルタアリーナ八王子
東日本柔術選手権2022
紫帯マスター4 ライトフェザー級
初戦⚪︎P5-0 PN1-0
準決勝⚪︎P7-0 AD1-1
決勝⚫︎AD0-2 PN2-1
※準優勝
10月2日 横浜武道館
デラヒーバカップ2022
紫帯マスター4 ルースター級
初戦⚫︎P0-2
12月25日 横浜武道館
パンクラスカップ2022
紫帯マスター4 ライトフェザー級
初戦⚪︎P2-2 AD1-1 PN1-0
決勝⚫︎AD0-2
※準優勝
紫帯戦績
9勝10敗
優勝2回 準優勝3回 3位3回
主な戦績
東日本柔術選手権紫帯マスター3ライトフェザー級優勝
グランドインパクト2021紫帯マスター4ライトフェザー級優勝
全日本マスター柔術選手権2022紫帯マスター4ライトフェザー級3位
本当は書くのか迷いましたがひとりでも多くの人に黒滝裕紀という選手がいたことを覚えておいてほしい気持ちで書かせてもらいました。
感情の赴くままに思ったことを書いたので読みにくいかもしれませんがありがとうございました。
上の成績は全部病気がわかってからだと思うとただただ驚くことしかできません。
ほんの少しの希望を最後まであきらめなかった黒滝さん。
本当に強い人だ。
たぶん今まで自分が会った人の中で一番強い人です。
僕にはできる気はしませんし勝てません。
本当に強い人間というものを学ばせてもらいました。
黒滝さんの勝ちです。
さよならは言わないよ。またね。
黒滝裕紀さん、18年間、本当に本当にありがとうございました。
ゆっくり安らかに。
ドラゴンズデン 澤田真琴
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