『並行食堂』観てきた

9月21日(土)の14:00の回。神奈川芸術劇場にて。
僕が観てきた小林賢太郎さんの作品の中では一番小さい劇場で驚きました。座席数約220席。出演者との距離が近い!座席表的には右端だったのですが、全く観にくいとかはありませんでした。

賢太郎さんがステージにいないのに大暴れしていて、なんだか嬉しくなりました。初めて『並行食堂』というタイトルと出演者を目にしたとき、竹井さんときな子さんの二人が営む不思議な食堂、というイメージが湧きました。似合う。

蓋を開けたら、「食べ物」と「並行」がテーマのフルコース。我々が生きている世界線とは別の世界線で起こる9つの物語。それぞれ日常の中の非日常ではなく、非日常の中の日常という、賢太郎さんが昔から作り上げてきた世界観を今回も描いています。

今回生で観るのは初めての演者さんが多かったです。
紅一点、小林きな子さんが可愛らしく、中2時代の破壊力は凄まじかった…なんとなく、KKP(小林賢太郎プロデュース公演)の初期によく出演していた平田敦子さんを思い出しました。
次に、目が据わっていて飄々としている加藤啓さん。パンチが強く、映像よりも、舞台映えする人だな〜と感動しました。いい声。
また、全身タイツという自らのキャラを賢太郎さんに逆輸入させた個性の塊、高崎拓郎さん。大声という特技も持つ高崎さんを賢太郎さんがいじり倒していて、本当に気に入られているな〜とほっこり。
そして、ワークショップから遂に前作『回廊』で舞台デビューした松本亮さん。東京オリンピック開会式でのピクトグラムであったり、賢太郎さんの愛弟子、という感覚です。雰囲気とか色気のある人だな〜と思っていたら、それを逆手に取る演目が笑
個人的にお気に入りは、小林賢太郎作品常連の辻本耕志さん。笑って通り過ぎるだけなのに一発で劇場の笑いを持っていく安定感に舌を巻きました。最後の占い師のような役も、辻本さんの場を掌握する安定感がないと成立しない役所でした。お見事。
辻本さんと並ぶ常連組からは竹井亮介さん。竹井さんって、どこか巻き込まれ顔ですよね。どの作品にもぴったりハマる。今回のまとめ役。

どのメニューも面白いものばかりでしたが、最後のメニューの、モノローグをさせない演出は新鮮でした。これぞ掟破り。散々『TAKEOFF』や「銀河鉄道の夜のような夜」で使ってきたことをフリとして破壊的な笑いを生み出す荒技。さすがです。他にも、「同音異議の交錯」と同じ構成だったり、日本語でとことん遊んでいたり、小林賢太郎を感じるエッセンスが散りばめられていました。

ラーメンズ時代と比べると、何か吹っ切れたのか、勢いで押し切るネタが多かった。まるで『回廊』の「そばをください」を煮詰めたような感覚。笑いが止まりませんでした。オリンピックの件や自身のパフォーマー引退、『回廊とデコイ』で考えが変わってきたのでしょうか。全体的に、観客のためというより、賢太郎さん自身が楽しんでいるような印象でした。小林賢太郎、ニューフェイズです。

欲を言えば、そろそろ長編も観たいです!!
ラーメンズ第18回公演も楽しみにしています。

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