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ゆるooラジオ 感想

・2500字強



・暗号の歴史はエモい。言語学や数学だけでなく、◯◯さえも使っている。【暗号1】#79

 私の好きなチャンネルが、満を持して暗号回をやっている! 私は暗号が大フェチ(大フェチ?)なので、本当にありがとう……!!!!

 エニグマ、RSA暗号、量子暗号に関しては、そのアルゴリズムをわかりやすく語ることができないので、アルゴリズムの説明を諦めて概説だけに留めているのもGood。

・動画の参考文献である、サイモン シン著の「暗号解読」は、私は既に何周か読んでいる。つまり動画の本筋の部分は視聴前から知っているのだけど、それでもなお面白いのが凄い。

・このチャンネルの凄い所は、ちゃんとインターネットに付加価値を提供しようと努めていることだ。参考文献の内容を喋るとき、他の知識との類似性を指摘してみたり、学識を語録化して遊んでみたり、意外な例え話を使ってみたり、クイズにしてみたり、とにかく小難しい学識を、ゆるく、興味深く説明しようと努めることで、元の本にはない価値を付加しようとしている。堀元さんは度々おもしろ説明おじさんを自称している。

・付加価値だけでなく市場価値のことも考えている。このチャンネルは、ちゃんと事前に市場調査することで、自分がこれからやろうとしている動画企画と内容が被っている動画がないのか確認している。というような裏話を雑談回とかでちまちま述べている。

 Youtuberにこれができる人間が何人いようか?

・Vtuberとは真逆である。彼らは、Vtuber四天王が流行ったあたりから、二匹目のドジョウを狙って雨後の筍のようにたくさん出てきた。他のVと差別化した魅力を持とうとする一部のVは好感が持てるけど、そうでないVは、あまりにも多い。成功した他者のメソッドを完全に真似すれば自分も同じだけ人気が出ると思っているのだろうか。

 誰かがゲルニカを100%完璧に模写したら、そのゲルニカにも時価数億ドルの価値が出るだろうか?

 それは無理だ。完全に同じ作品だったとしても、創作性とネームバリューの2つにおいてオリジナルより劣っている。

・論文においても、エンタメにおいても、商品開発においてもそうだけど、どんなに立派な作品を作っても、それが完全な模倣だったり、車輪の再発明だったりしては、需要において先駆者に勝てない。他人と違うことがやりたいと思う逆張りオタクだけが市場価値を産める。

 やりたいことをするだけなら市場をキョロキョロする必要はないが、やりたいことをして食っていきたいなら、市場をキョロキョロして、需要に合わせて「やりたいこと」を変形させる必要があるのだ。それを理解し、実行できるYoutuberが、果たして何人いようか?


・ぶぇっ! すっぺえ日記!



・【同じ辞書が34冊ある】辞書部屋でニッチなあるあるを聞きまくる回【2冊同時に読む】#243

・あまりにも面白い……

・辞書部屋を作るほど辞書が好きな異常性癖者が、その異常性癖についてのあるあるについて嬉々として語っている恐ろしい動画だ。ツッコミが絶えなくて面白い。


・「ギガが減る」を許せない頑固おじさんの改心【今年の新語予想】#67

・面白い!

・「ギガが減るって言葉の使い方は気持ち悪い」→「でも体重のことを何キロと言うよね」→「それを言うなら確かにデータのことを何ギガと略すことはある。でも体重が減ることを、キロが減ると言ったら気持ち悪いよね」の流れ、綺麗。

・「ギガが減る」という言葉への違和感がある人とない人がいるようだけど、その違いは「ギガという言葉を他の文脈でも使うかどうか」なのかもしれないと思った

・コンピュータに疎い方々の中では、ギガという言葉って他の文脈では滅多に見かけないから、「通信データ量=ギガ」と名付けてしまっても他の言葉と衝突しない。が、情報工学を齧っている人間からするとギガという言葉は「10^9を表すSI接頭語」という認識なので、そのギガとこのギガが脳内で衝突するために気持ち悪いと感じるのだろう。

・私もかなり衝突が嫌いだ。例えば「きらいがある(:悪い傾向がある)」という言葉は嫌いなので使わないきらいがある。なおざりとおざなりも気持ち悪いのでどっちも使わない。「ごはん」という言葉を使うときも、脳内で「そのごはんが白米のことを指すのだと誤解される文脈でないか確認する処理」が毎回発生するのが気持ち悪いので、ごはんでなく「飯」や「食事」に置き換えることがある。「風呂に入る」も、シャワーを浴びるだけの行為を「風呂に入る」に含めるのかどうかを文脈から判断する処理を相手にさせるのが嫌なので避けたいと思っている(といいつつ他に適当な単語が思いつかないので、毎回「風呂」という言葉を使うときは歯切れが悪いまま使っている)。

・ギガという言葉自体は10^9を表すから、ギガメートルとかギガグラムも(使わないだけで)存在はする。

 多くの人はそれを知らず、「ギガ=通信データ量」という命名は気持ち悪いという感覚がないのかもしれない。


・「酸素の発見が近代科学を産んだ」←考えて見ればごく普通のことだけど、酸素が発見されていなかった時代のことを考えると恐ろしいな。

 当時の人は、まさか燃焼することで、物質が出て行くのでなく、入ってきているのだとは思わず、「燃焼することで出て行く物質がある。これをフロギストンと名付けよう」という説が唱えられ、これが結構信じられていたそうだ。しかしその考えでは「鉄が燃焼すると質量が増える」という事実の説明がつかない。そこでフロギストン説の信者は「金属に入っているフロギストンは質量がマイナスなんだ。だから燃焼すると質量が増える」と言ってフロギストン説を補強した。

 一度酸素を知ってしまった私たちはもう、その時代の価値観を直感的に共感することは一生できないのだと思う。「星ってなんだろう」とロマンチックに感じることもできない。3000年前の人には雷がどう見えていたのか……

 時代劇を見ても、彼らの見ている視界に完全に共感できることは一生ないと思う。それがどの時代の、どの民族の時代劇であれ……


・おわり


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