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《土木文学》「戊辰鳥 後を濁さず」第57話

五月十日(金) 

 結果から言うと、畑が一反だけだった。

 芝桜が咲かなかったのは、川の土手だったからである。

 ヒツジ川の管理者である神奈川県にとっては一大塩害だが、周辺の耕作者にとっては、今年は甘雨というか柔らかく雨も降ったので、土中にはあまり影響を受けず、大した問題でもない。と、いった感じであった。

 畑の所有者さんには一連の事態を謝り、誠心誠意、除塩作業を行うと約束し、理解をしていただけた。

 理解をしてくれなかったのは神奈川県で、私は条例に基づく届出を出していなかったことから100万円の罰金を支払い、晴れて犯罪者となった。懲役を免れたのは、事態の特殊性とラクダをはじめとした第三者からの助言があったからだ。

 下水道の接続工事も事態が事態であっため、ゴールデンウィーク中であるのに市内の施工業者さんが施工をしてくれた。今はアスファルトの復旧工事を残すのみで、仮の材料での舗装となっているらしく、完成はしていないが、下水道への排水はされるようになっている。使用開始の際の立ち合いも、市役所の職員の方が休みであるのに出てきてくださってなんとかなった。

 ラクダをはじめいろんな方のお世話になった。感謝している。

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