《土木文学》「戊辰鳥 後を濁さず」第7話
三月二十一日(木)
250万円はイニシャルコストだったらしい。
ボコボコとぬるま湯が湧き出る限り、その処理のランニングコストがかかる。その内訳はぬるま湯を中和する炭酸ガス代と装置自体の電気代だ。年間50万円近くかかるらしい。他にもこの区画が埋まるくらい大掛かりな水槽を用意して、酸性の錠剤を混ぜる方法もあった。そちらの方がランニングコストはかからないが、急ぎということでジンベエザメはこの方法をとった。
取り壊す前のアパートは築四十年のボロアパートで部屋は四室だったが