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定林寺が誇れる宝とは「寺と檀信徒の尊い和合という力」 龍口山 定林寺 2/2

火災と信仰の戦い

 定林寺は過去四度の火災にあうものの、都度、住職と檀信徒が一体となり、伽藍(がらん)の復興にあたりました。現在の本堂は明治三十五年(一九〇二年)の再建、築百十数年の建物になります。
 三十一世大應虎俊大和尚(だいおうこしゅん)がこのような言葉を残しています。「幾多の風雨が侵(おか)しても、法燈(ほうとう)、今もなお定林の峰(みね)を照らすは相承(そうじょう)の名徳(めいとく)が介法護灯(かいほうごほう)に尽瘁(じんすい)せられたるが為なり。而(しこう)して、ここに忘(わす)るる能(あた)わずは、仏恩(ぶつおん)の廣大(こうだい)なるに報(むく)い奉(たてまつ)らんとして、終始油資(しゅうしゆし)を投げられたる歴代檀信徒の不易(ふえき)の信仰心(しんこうしん)なり」。四度の火災があっても再建できたのは、尊い信仰心の賜物。定林寺の誇れる宝とは、歴代住職と檀信徒の和合の力だと仰っています。

毎年3月26日に開催される「大般若祈祷会」
檀家、地域の平安無事の他、今年はコロナ禍の早期終息も祈祷しました。

龍口山 定林寺 深瀬謙三(ふかせけんざん)老師
昭和19年河北町溝延生まれ。駒澤大学文学部英米文学科卒業。高校教師として教鞭を執っていたが母の急逝を機に発心。昭和43年大本山永平寺にて修行。昭和47年英照院32世初住。最上地区青年会設立。昭和59年、定林寺34世住職となる。弟子に清光(新庄市英照院住職)、雅光(新庄市會林寺住職)。


谷地地域の人々との大切な関わり

 お釈迦様の命日に行われる法要で参拝者に配られる涅槃団子(ねはんだんご)は手作りしていて、無病息災や交通安全、厄除けにご利益があると言われお守りとして配られているそうです。涅槃団子はお釈迦様のお骨に例えられ、火葬した時お骨が五色に光輝いたという言われがあり、様々な色をつけるようになったと言います。
 また、一年の平安無事を祈る「大般若ご祈祷」が三月に行われますが、コロナ禍前まではなんと百食以上の精進料理を定林寺内の厨房で作り、無料で振る舞っていたとのことです。昔は「定林寺の大般若だから」として学校がお休みになっていたほど、地域の一大行事で、本堂前に長い行列ができるほどだったそうです。

涅槃団子を作る寺族の美幸さん(右)と史子さん(左)


泥中(でいちゅう)の蓮華(れんげ)、泥(どろ)多ければ仏大(ほとけだい)なり

僧職ではなく教職について、これから親孝行しようという時、母が急逝しました。悲しみと後悔にある中、先師市川清矩(いちかわせいく)大和尚より「高原湿地(こうげんしっち)に蓮華(れんげ)生ぜず、卑湿汚泥(ひしつおでい)この花を生(しょう)ず、泥(どろ)多ければ仏大(ほとけだい)なり」との言葉をいただいたそうです。「悲しみや苦しみが多い人ほど、そこを乗り越えた時に人間として大きく成長できる」の意と理解し、教鞭をおき僧侶の道を歩み出すことになりました。定林寺の蓮は3,000年前の遺跡より発掘された種子を発芽させ、現代に蘇らせた古代蓮です。汚れた泥の中で大きく育ち美しい花を咲かせることから仏教では悟りの象徴として大切にされています。ちょうどお盆の頃に見ごろを迎えます。

定林寺の古代蓮


曹洞宗 龍口山 定林寺(りゅうこうざんじょうりんじ)
場所/ 山形県西村山郡河北町谷地辛172-2
電話/ 0237-72-3013
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