定期的にBTS花様年華を拗ねらせる女子大生の話

第一話 いざ、東京へ

2019年4月。憧れの大学に入学した。私は九州出身で、大学進学を機に東京に上京し、一人暮らしを始めた。
桜が風に踊らされ、春にしては少し肌寒い入学式だった。ここで始まる新しい生活が、その時の私を変えてくれると信じていた。それぐらい、私はまだまだ子供だったのだ。

1人暮らしを始めたとき、昭和に建てられたかなり年季の入った女子寮で生活を始めたはいいものの、壁の薄さに部屋の狭さ、Wi-Fiの繋がりにくさに、備え付けの冷蔵庫の小ささなど、全てのことがストレスだった。その中でも、共有の洗濯機と洗濯スペースには幾度となくイライラさせられた。
それでも、激狭キッチンで自炊を頑張った。

私は、大学に入ったら必ずしたいことがあった。それは、演劇。ずっと演劇がしたかったのに田舎には演劇部などはなかった。だから、ろくにサークル見学にも行かずにどの演劇サークルに入るかばかりを考えていた。これが後々の後悔につながるのである。
そんなことは知らずに、これから始まるバラ色の大学生活に浮かれていたのだ。

そんなある日、事件は起こった。今思い出しても、今後絶対にないといっていいほどの大事件、人生で初めて一目惚れをした。大学のクラスが一緒になった男の子に一瞬で恋に落ちた。彼とは運よく同じ班になって、夏休みまでの半年間、定期的に連絡を取らざるを得ない仲になったのだ。
私は最高に運がいい女だと思った。行きたい大学に行けて、運命の人にも出会えて、やりたいこともできる。もう、ほんとに、毎日が楽しくて仕方なかった。
しかも、初めてのアルバイト先は、世界に一つしかない場所かつ日本を代表する場所であり、皆から羨ましがられた。この時にはもう、私は有頂天になっていて、世界は自分のためだけにあるとさえ考えなくもなかったのだ。

いつまでもこんな生活が続くような気がしていた。いつまでも楽しくて、明日を生きるのが楽しみでたまらない人生が続いていくと思っていた。
高校の頃、ストレスから過敏性腸症候群になり、毎日が腹痛との戦いの中、学校に通い続け、部活でもうまくいかずに最後の大会に出場できずに、プライドをズタボロにされ、大学に行けば何かが必ず変わると考え続けた日々。そんな日々が報われたと思っていた。

大学に入って有頂天になっている私に言えることがあるならば、
「人脈をつくれ。頼むからえり好みせずに馬鹿みたいにサークル新歓に顔を出して、一緒のクラスになった人と交流をはかってくれ。三年後の君は友達がいなくて孤独な日々を過ごしている。」
ということである。

そう、私は今、孤独なのだ。


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