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かゆみの科学

昔から、不思議だった。
痛みという感覚は、健康状態や身体の危険を知らせるためのアラートとして役立っているが、「かゆみ」の感覚は何の役に立っているのだろうか?
かゆいところをかくと快感があるのも不思議だし、欲求に従ってかき続ければ傷になる。体表に異物がついたアラートだという仮説もあるが、それならかいた時の快感という報酬体系は余計なのではないか?

これから書くのは、思い込みと雑なリサーチに基づく雑文なので、もっとこの分野の知識を持っている方や、異なる仮説を思いついた方がいれば、どんどん教えていただきたい。

まず仮説。
痛みが、アラートだとしたら、かゆみはToDoリストなのではないか?

痛みは、行動を抑制して休ませるための停止アラート。激しい運動を抑え、おとなしくしていれば、たいていの健康被害は改善する。
逆に、かゆみは、いてもたってもいられなくして、次の行動を促進するためのToDoなのではないだろうか?

動物がかゆみを感じた後になされる行動はに、患部をかく、なめる、砂浴びや水浴びをする、木などにすりつける(結果的にマーキング)、仲間にかいてもらう(グルーミング)などがあるだろう。
これらのうち、身体を洗浄する行動の促進効果には、それなりに納得感がある。だが、自分で患部をかく、なめる、などで事態は改善するのだろうか? 怪我をした飼い猫は、怪我した部分をなめて悪化させてしまうため、シャンプーハットを首につけるではないか?

身体のうち多くの部分は、独りでかくことが出来ない。だから、動物にもグルーミング行動がよく見られる。もしかして、かゆみを由来にしたグルーミング欲は、コミュニケーションや群社会への参加欲につながるのではないか?
群れをなし、互いにグルーミングを行う哺乳類以外も痒みを感じているのだろうか? 鳥は、しばしばグルーミングをしているので、たぶん痒みがある。それでは爬虫類は? 魚類は?

もしかしたら、かゆみの発生にはストレスなどの社会的な要因も関係しているのかもしれない。これについては、ストレスとアドレナリンとかゆみの関係をググってみた。

ストレスが発生すると、アドレナリンが分泌される。このアドレナリン、アレルゲン反応が起きる前までは、かゆみを起こす原因になるが、アレルゲン反応が起きた後には、逆にかゆみを抑える効果になるらしい。これはどういうことだ?
もし、人の身体の機能が生存に最適化されていると仮定するならば、恐らくはその時点で取るべき行動の優先順位が変わったのだ。
http://www.binkan.net/knowledge/stress2.html
ストレスとアドレナリンは、一時的に優先順位を切り替えるトリアージの役割を果たしている、とも言えるかもしれない。

ともあれ、痒みは行動促進、痛みは行動停止、という原則は正しいのではないかと思う。
もっと検証と考察が必要だ。全くもって自分の専門分野でもない、詳しくもないこの領域に、そんなに時間がさけるのか、謎ではあるが……。

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