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アイデアを出すということ。 ※投げ銭型

加藤さんの今日のnoteで、アイデアについての話があった。

「おもしろ企画を考える」という仕事柄、アイデア出しやブレインストーミングを日常的にやっている。学生の頃から僕はブレストが大好きで、30分おきにテーマを変えて1日12時間ぶっ続けでやっても、大丈夫なくらいだった。ブレスト好きが高じて、今も個人的に「ブレスターズ! 全員集合知」なんていうブレストイベント(みんなでテーマを持ち寄り、みんなで考える会)を不定期で開催したりもしている。

ブレストにはコツがあって、うまくやらないと時間の浪費だが、やり方次第ではとても有効な手段なので、そのノウハウはまた別の機会に書きたい。今回は「アイデアを出す」ということ、について書いてみる。

僕は、アイデア出しのことを脳内で行なう「ひとりブレスト」と呼んだりする。そして、ブレストと同様に、このひとりブレストにも当然コツがある。

企画案でもネーミング案でも、ビジネスモデルでもストーリー案でも経営課題でも恋の悩みでも、何でもいい。ある課題について、しばらく深く考え続けてみよう。ひたすら一つのテーマについて考え続けていると、目に入るもの全てを、そのテーマと紐付けて考えるようになってくることに気づく。

デザイナーや企画者向けの観察力の訓練法として、一つのものに注目して一日を過ごす、という有名なトレーニングメソッドがある。例えば「今日は街を歩く時に、赤いものに注目してみよう」という具合だ。すると、普段は気にかけなかった全く違う街の顔が見えて来る。試しに一日続けて見ると、こんなに繊細な差を持つ赤い色のものが街にあふれていたのか!という驚きがあるはずだ。テーマを変えて毎日続ければ、観察力が格段にアップするというわけだ。「視点」「切り口」というものは、さほどにも重要なものなのだ。ひとりブレストで、テーマと周囲のものが結びついて行くのも、この状態に近い。

一度、こうなってしまえば、しめたものだ。そのまま思考を深く長く続けていけば、やがてボーナスステージに到達する。意識して自分で考えなくても脳が考えてくれる、通称「バックグラウンド処理」モードである。ひとつのテーマについて深く掘り下げて考えた後には、考えるのを休んでる間にも意識の底には課題が残っていて、何かを見た時にふと繋がってアイデアが出たりするのだ。

人間の脳というのは良く出来ているもので、昼間ひたすら考えていたテーマが夢の中で整理されて、起きた途端に答えが出ていたりすることもある。ポール・マッカートニーが、夢の中でイエスタデイのメロディを聴いたというエピソードは有名だ(ポール自身どこかで聞いたジャズのメロディのそのまんまだったかもしれないけど結局思い出せなかった、なんて話もしている)。神が降りてきた、なんて良く言われるが、なんてことはない。脳がスリープモードで演算を続けていただけだ。これが、いわゆる天啓とかひらめきの正体だと思っている。

「アイデア出し」というのは結局のところ、キーワード同士の組み合わせによる連想ゲームだ。

だから、どれだけ脳内のテーブルの上にキーワードが書かれたカードを並べておけるか、日常の生活の中でどれだけ新しいカードを引いて来れるか、の勝負だと思っている。

もちろん、脳内だけに仮想のカードを並べていくのは限界があるから(まさに神経衰弱!)、現実世界でもポストイットやメモや単語カードやアウトラインエディタ系のアプリ(僕が20年来愛用してるのはTreeMemo)なんかを使って、テーブルの面積を広げてやると、脳内にその分深く考える余地ができる。

手持ちのカードが足りない時は、手当たりしだいに雑誌をパラパラめくったり、街の景色を眺めたり、カフェにいる客を眺めたりする。個人的にお気に入りの場所は大型書店だ。本を手に取らず、背表紙のタイトルだけをインプットにして、色々なジャンルの棚をぐるぐると歩きまわりながら、ひたすら考える。何もない会議室で考えるよりも、雑多な情報がインプットされる場所で一度は考えてみたほうが、良いアイデアは出やすい。連想ゲームの処理作業を、その後は脳内スリープモードにまわすとしても、最初にインプットしておくデータ量が結果に大きく影響するからだ。

アイデア出しが、キーワードの組み合わせによる連想ゲームだとしたら、キーワードの多彩さ、連想の突飛さ、そして出て来たアイデアを選り分けるフィルターとしての選択眼が、アイデアの質に関わって来るはずだ。それらの質を高めるための自分にあった方法を見つけて、脳内に「最適な範囲の乱数」を自由に発生させる力をつけることが、アイデア出し上達への近道なんじゃないか、と思う。

「連想」の能力が高い人は、この記事の冒頭にあった妙な写真にも、思わず反応してしまうのではないだろうか。JAXAで撮った写真だが、言葉の組み合わせのあまりのインパクトの強さに、色々な妄想が湧き出してくる。

最後に「連想の突飛さ」についての日常的な訓練にもっとも適しているのは、妄想トークやダジャレや大喜利だということも、つけくわえておく。おじさんは、伊達にエロい妄想やオヤジギャグを口にしてるわけではないのである。

※もし、ブレストのノウハウや、ブレスト会のイベントに興味がある方がいたら、ぜひ投げ銭で応援をお願いします。ご期待があれば企画します!

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