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あなたの「モダンエクセル」は、なぜ、思うような計算結果を示してくれないのか?!

「データ分析&可視化の新しい教科書 モダンExcel入門」(日経BP)の作者が教える、「モダンExcel」で特に留意すべき事項は3つあります。

①正しい「カレンダーテーブル」の作成
②正しい「データモデル」の理解
③モダンExcel「2大ツール」の上手な使い分け


ここでは、これら「正しいモダンExcel」の基本となる3点を取り上げ解説します。

というのも、これら3つは「正しいモダンExcel」を取り扱う際に、「最低限」守らなければいけない「基本」の「型」だからです。

こうした「基本」を知ることは、あなたの「モダンExcel」そしてその先にある「Power BI」の理解にも、きっと役立つことだと思います。

「正しいモダンExcel」の機能や操作方法についての詳細は、拙著「モダンExcel入門」でご確認ください!

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「情報化社会」で気を付けるべきこと

「情報化社会」と言われ久しいですが、世の中は「様々な情報」であふれかえっています。
その中には、「正しい情報」もあれば、「間違った情報」もあります。

これは、「モダンExcel」についても、同じことが言えます。

「モダンExcel」とは似ても似つかない「モダンエクセル」には、特に留意してください。

例えば、こんな「モダンエクセル」事例には、要注意です!

1.なんちゃって「カレンダーテーブル」

DAXデータ分析式には、「カレンダーテーブル」が必要です。
その作成方法には、おススメ順で3つあります。

①「パワーピボット」で、カレンダーテーブルを作る
②「パワークエリ」で、カレンダーテーブルを作る
③「Excelワークシート」で、カレンダーテーブルを作る ☚ MS非推奨!


このうち、③「Excelワークシート」で「カレンダーテーブル」を作ることは避けたほうが良い、ということが知られています。
マイクロソフトの「1次情報」でも、非推奨とされています。

「正しい」カレンダーテーブルは、以下のような形式になります。

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そもそも「カレンダーテーブル」は、「年間全体」にわたっている必要があります。

ちなみに、「必要となる日付の期間だけ」データを用意したテーブル等は、マイクロソフトが定義する「カレンダーテーブル」には該当しません。
したがって、これは使うべきではありません(注)。
「計算誤りを誘発」するからです。「タイムインテリジェンス関数」という「モダンExcel」特有のDAXデータ分析式が、上手に機能しないからです。

また、「これが、カレンダーだよ」と、指定する必要もあります。

残念ながら、「なんちゃってモダンエクセル」では、そうなっていなかったり……。

(注、必ずしも1月1日から12月31日までの「暦年」になっている必要はない)。

詳しくは、拙著「モダンExcel入門」、第2章、PART2「時系列分析に必須のカレンダーテーブル」をご参照ください。

2.グダグダの「データモデル」

拙著「モダンExcel入門」で事あるごとに主張を展開していますが、「モダンExcel」を理解するには、一体理解が必要です。
ここでいう「一体理解」とは、「Power Query(パワークエリ)」と「Power Pivot for Excel(パワーピボット)」の両方を上手に使う、こうしたことを意味します。

このうち、「パワーピボット」は、複数の「テーブル」を対象に「リレーションシップ」し、いわゆる「データモデル」を作る機能を言います。
このことを「データモデリング」と呼びます。

そして、このデータモデルの基本形が、「スタースキーマ」という「星形の表」になります。

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この「データモデル」を理解するには「正規化」という概念を知っておく必要もあります。別段難しく考える必要はありません。
要するに、Excelでいうところの「テーブル」がわかる程度の知識でとりあえずは十分です。

こうしたことは、「モダンExcel」の基本の「型」(”形”とも言います)です。

しかし、「正しいモダンExcel」とは似ても似つかない「えせモダンエクセル」では、この程度のことすら意識されていなかったり……。
グダグダのまま、テーブルが配置されていたり……。
取引記録などから組成される「ファクトテーブル」の列がすべて表示されたままになっていたり……。

例えば、「なんちゃってモダンエクセル」では、こんな感じのデータモデル……。

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「正しいデータモデル」のあるべき論についてお話しします。
下図「fTransaction」という名の「ファクトテーブル」を見ると、「列」はなく、[fx]というアイコンの「メジャー」と、信号機のようなアイコンの「KPI」だけになっているのが分かります。

このように、列のないメジャーだけの「ファクトテーブル」の周りにデータの切り口となる「ディメンションテーブル」を配置する、これが理想の「正しいデータモデル」です。

これが、「モダンExcel」!

詳しくは、拙著「モダンExcel入門」、第2章、PART4「使いこなしに必要な「DAX」の基礎知識」をご参照ください。

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データ分析で使わない不要な行列は削除し、正しいカレンダーテーブルを用意し、ファクトを中心にディ面を配置するスタースキーマにする。
こうした基本のデータモデル、言い換えれば「型」を守ることで、メジャーが簡単になり、多彩なデータ分析を行うことができるようになります。

「型」が必要

柔道や剣道、華道や茶道、体操やフィギュアスケートなどには、それぞれ決められた「型」(”形”とも言う)という「正しい基本」があります。

同様に、「モダンExcel」にも「正しいデータモデル」という「型」があります。
その「基本」を知り、「型」を重んじる必要があるわけです。

この「型」を知らずに、データ分析を行う「なんちゃってモダンエクセル」では、とんでもないミスを犯すことになるので、注意が必要です。

たとえて言うならば、柔道の「受け身」です。
この「受け身」という「型」を知らなければ、けがをするどころか、命にかかわることだってあります。
だから、柔道では必ず「受け身」という「型」をはじめに学びます。

「モダンExcel」も同様です。
まずは「正しい基本」「型」を学ばなければなりません。
さもないと、痛い思い=大きなミスにつながることもあるからです。

「型」を知らない「なんちゃってモダンエクセル」では、命取りになる可能性があります。
くれぐれも、ご留意ください。

典型的には、上記「正しいデータモデル」のような形式になっていないのは「モダンExcel」とは似て非なる「なんちゃってモダンエクセル」の「えせデータモデル」です。

「なんちゃってモダンエクセル」では、「たまたま」正解を出すことはあったとしても、それは「偶然」であり「必然」ではありません。

「グダグダのデータモデル」は、間違った結果に結びつきやすく、避けるべきなのです。


こうしたことは、マイクロソフトなどで少しでも「正しい型」を勉強したことがあれば、誰でも分かることです。
なぜなら、マイクロソフトの「1次情報」である、「MSLearn」にはしっかり明記されているからです。

「正しい情報」なのか? 超簡単な「見極め法」

たとえ「独学」であっても、「1次情報」をしっかり読み込んでさえいれば、間違うはずはありません。
なぜなら、「1次情報」にしっかり記述されている「基本」の「型」だからです。

逆説的に言えば、「1次情報」とは違う記述が頻繁にあるとすれば、その筆者の情報の「信頼性」や「正確性」に大きな疑問符が付きます。

上記のように、「なんちゃってカレンダーテーブル」「なんちゃってデータモデル」は、その判断基準の一つになります。

もっと簡単な「なんちゃって」を見分ける方法もあります。
「正しい情報」の超簡単な「見極め法」は、独特の言い回しに注目してみることです。

正しい「モダンExcel」には、マイクロソフトが決めた、お決まりの言い回しがあります。
受験生であれば「テクニカルターム」といえばわかるでしょうか。
ある「単語」の言い回しに注目してみるというのも、その筆者がどれだけ「1次情報」を読み込んでいるのか、という一つの目安になります。

たとえば、DAX関数特有の「SUMX」などの「末尾にX」がつく「イテレーター」という反復子の説明を見ればよいでしょう。
もしも、「イテレーター」以外の表現がされているとすれば、その筆者は「1次情報」を見ていない可能性が非常に高いです。
「1次情報」にない表現方法は、そもそも「1次情報」を読み込んでいない「証」でもあります。

残念ながら、マイクロソフトの正式な「1次情報」にはそもそも存在しない、「なんちゃってモダンエクセル」という「誤った2次情報」が横行しています……。
だから、あなたの「モダンエクセル」は思うような計算結果を示してくれないのです。

「モダンExcel」と「モダンエクセル」は、まったくの別物です。

計算誤りを誘発する「なんちゃってモダンエクセル」には、くれぐれもご留意ください。

3.「なんちゃってモダンエクセル」は「モダンExcelの2大ツール」を使い分けない! そもそも使い分けられない!

「モダンExcel」の主要2大ツールとして、上述のように「パワークエリ」と「パワーピボット」があるわけですが、その役どころをきちんと見極めることが「モダンExcel」を正しく活用する際に、とても大切になります。

「パワークエリ」は、データを「きれいなデータ」にするためのツールです。
「パワーピボット」は、その「きれいなデータ」で分析するためのツールです。
それぞれが果たす「役割」は、そもそも違うのです。

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こうした視点が不十分なため、「パワークエリ」と「パワーピボット」の使い分けが、そもそも上手にできていなかったり……。

「パワークエリ」だけで十分だ、そういってみたり……。

なんちゃって「モダンエクセル」と、正しい「モダンExcel」は、そもそもの思考回路が違います。

「パワークエリ」と「パワーピボット」の両者を使い分けられるようになるには、「モダンExcel」の「一体理解」が大切です。
そのポイントは、上述のようにそれぞれの「正しい基本」「型」を一体的に理解することにあります。
「パワークエリ」と「パワーピボット」両者を一体理解することで、それぞれの上手な使い分けができるようになり、「モダンExcel」の応用が利くようになります。

「型」を知らない「なんちゃってモダンエクセル」では、計算誤りを誘発するので、そもそもダメなのです。

「1次情報」と「2次情報」の峻別と活用

「とんでもモダンエクセル」「なんちゃってモダンエクセル」の論点は他にもいろいろありますが、長くなってきたので、この辺でやめておきます。

ここで申し上げたいのは、「あふれかえる情報」の中には、必ずしも「正しい情報」だけが存在するわけではなく、「間違った情報」もたくさんある、という事実です。

情報の「真実性」「正確性」を見極める必要がある、ということです。

「モダンExcel」のような新しい知識を学ぶ上で大切なのは、「正しい基本」を知る、ということです。
「型」を知ることで、応用が利くようにもなるからです。

「モダンエクセル」のような「間違った型」をいくら学んでも、それは所詮「なんちゃって」なのです。

残念ながら、「モダンExcel」界隈ではこうした「なんちゃってモダンエクセル」が、横行している「現実」があります。
まずは、「正しい基本」「型」を知って欲しいと思います。

では、その「正しい基本」を、どこで、どのように学べばよいか?

ポイントは、「正しい情報」をだれが発信し、「正しい情報」はどこで入手できるのか、という点にあります。

そもそも「情報源」には、プリミティブ(原始的)な「1次情報」と、デリバティブ(派生的)な「2次情報」があります。

私たちが、「新たな情報」から「正しい知識」を得ようとするのであれば、「1次情報」にアクセスする必要があります。
マイクロソフトで勉強するとか、その関係者の著作を読み込むとか。
マイクロソフトが公表する「MSLearn」なども、「1次情報」に最適です。
「1次情報」にアクセスする方法はいろいろあります。

さまざまな事情により「1次情報」にアクセスすることが困難で、「1次情報」を理解する機会がなく「2次情報」に接するというのであれば、その「2次情報」が本当に正しいのか、きちんと検証する必要があります。
これは、税務でも、会計でも、監査でも、「モダンExcel」でも同じこと。

間違った情報を孫引きした「2次情報」が氾濫しているので、注意が必要です。

特に上記で指摘したような情報は「誤ったモダンエクセル」「なんちゃってモダンエクセル」の事例です。
参考になされないことを、強くお勧めします。

私は、マイクロソフトでの勉強と海外のサイトを中心に、正しい「モダンExcel」を習得しました。
どこで、どのように、「モダンExcel」の知識を得たのか、それはまた別の機会にご紹介したいと思います。

「モダンExcel」のエッセンスは、これだ!

「モダンExcel」の基本、「モダンExcel」の正しい「型」は、海外サイトに豊富にあるので、そこでいろいろなことが学べます。
アクセスしてみて欲しいと思います。

「英語が~…。」という方、拙著「データ分析&可視化の新しい教科書 モダンExcel入門」(日経BP)を参考にしてほしいと思います!
「モダンExcel」の正しい「型」を学ぶことができますよ!

筆者が主宰する「モダンExcel研究所」のコンテンツも、参考にしてみください!

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「ファクト」に基づく「書評」を見れば、「違い」が分かる

Amazonでは「悪意に満ちた低評価レビュー」「フェイク」のオンパレードです。

一方、拙著に対して「正しい評価」をしてくださる方もボチボチ出始めてきました。
ありがとうございます。

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こうした「真っ当な書評」「ファクト」をご覧いただけば、拙著の主張がいかに「正しい」か、某コンテンツにどれほど「大きな誤り」があるかが、きっと分かっていただけると思います。

両者の違いを一言で表現すれば、書評にあるように「安定度」「効率性」に歴然とした差があるということになります。
言い換えれば、上記で主張してきた「正しいモダンExcelの型」になっているか、型を無視した「なんちゃってモダンエクセル」なのか、という違いがあるわけです。

「なんちゃってモダンエクセル」では、「たまたま」正解をはじき出すことはあっても、それは「必然」ではなく、「偶然」なのです。
上記書評にあるように、「なんちゃってモダンエクセル」ゆえ、「不安定」になってしまうのです。

正解を「必然」として導き出すには、正しい「型」が必要なのです。

そのためには、「モダンExcel」を「一体理解」する必要があります。

正しい「型」を有した、正しい「モダンExcel」であれば、データ処理の「安定度」が断然違うのです。
「安定度」の高いデータモデルは、「効率的」に計算もはじき出します。


こうしたことを、上記書評を書いてくださった方は、他のコンテンツと比較して「正当なコメント」をしてくれています。

「以前より安定的で効率が良い使い方ができるようになった」

このコメント、わが意を得たりと思いました。ありがとうございます!








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