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これが「経営ダッシュボード」!! 「モダンExcel」の幕開けです!!!

「経営ダッシュボード」?!

「経営ダッシュボード」という単語を初めて見聞きした方もいると思います。
「経営ダッシュボード」とは、表題部の図や、本稿下部の動画などを参照していただくとイメージを掴めると思いますが、英語では「dashboard」と表記し、データを分かりやすく「可視化」するツールのことを言います。

要するに、「数字は数字の形である必要はなく、グラフのようにわかりやすく表現する方法」、これが「経営ダッシュボード」です。

こうした思考回路は、1980年代、アメリカで開発され発達してきたKPI(主要業績評価指標)を生み出した「バランスト・スコアカード(BSC)」に登場する「データベース・マーケティング」という概念が、一つの根源にあると言えるでしょう。

日本では、お世辞にも認知度が高いとは言えない「経営ダッシュボード」ですが、世界を見ればもう当たり前の時代なのです。

日本で「ダッシュボード」は未知の領域

まずは、「日本」の現状を見てみましょう。
下図は、「Google Trends」から「ファクト」データを抽出したものです。

青が「ダッシュボード」、赤が「Power BI」、黄が「VBA」、それぞれの2021年8月までの10年間を対象に、Google検索キーワードの推移を示しています。

ちなみに、赤「Power BI」は、マイクロソフトが近年推奨している「Power Platform」の一員で、データを可視化する「BI」「ビジネスインテリジェンス」ツールです。
要するに、「数字を、グラフにして、見える化」するツールが「BI」です。

このPower BIの原始的なツールが、拙著「モダンExcel入門」(日経BP)でご紹介している「モダンExcel」になります。

「モダンExcel」には、Power BIにも含まれている、2大ツール「Power Query」と「Power Pivot for Excel」があり(より正確に言うと、「DAX」「Data Analysis Expressions」という「データ分析式」が、Power BIにも、Power Pivot for Excelにも含まれている、という意味です)、これらを「一体理解」することが、Excelで「データを見える化」するためには必要だ、という点は、拙著「モダンExcel入門」(日経BP)でも主張しているところです。

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上図をご覧ください。
青「ダッシュボード」、赤「Power BI」は近年、若干上向き傾向にありますが、ほぼ「ゼロ」に張り付いています。
これに対し、「VBA」という黄色の線は、ほぼ横ばいで「高止まり」しているのが分かりますね。

日本では、「VBA」が人気で、「ダッシュボード」「Power BI」という概念はまだまだ未知の領域という「ファクト」を示しています。

世界では、もう当たり前の「ダッシュボード」

次に、「世界」に目を向けてみましょう。

まず、下側の「地図」に注目します。
この地図は、「VBA」というトレンドワードで、どの国が検索しているかを示しますが、驚くことに「日本」が第1位!なんですね。
これが「ファクト」です。

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次に、上側の「折れ線グラフ」に注目します。
『日本で「ダッシュボード」は未知の領域』で上述した「日本」の状況とは大きく異なり、「世界」では青「ダッシュボード」が、ダントツです!
しかも、その勢いはここ数年かなりあるのも分かります。

そして、「世界」では、年々赤「Power BI」が上昇しているのに対し、黄「VBA」が下降トレンドになっている点も注目です。
まもなく、赤「Power BI」が黄「VBA」を追い越し、逆転しそうな勢いということも分かります。

こうした「世界」のトレンドは、先に見た「VBA」優位の「日本」の状況とはまったく異なりますね。

わが国「日本」では「VBA」が根強い人気ですが、「世界」を見渡せば、実は「Power BI」のような新たなアーキテクチャ―が「主役」にとって代わろうとしている、これも「ファクト」なのです。

日本は「ガラパゴス」

これはよく言われることですが、「日本は世界から取り残されている」「日本は ” ガラパゴス ” だ」、という指摘があります。

次の図をご覧ください。
青「BI」(ビジネスインテリジェンスという、データを可視化するツール)、赤「RPA」(Robotic Process Automation、業務を自動化するツール)、黄「VBA」、これら3つのキーワード検索の状況を、先ほど同様10年間を対象にした「トレンド分析」です。

「日本」の場合、黄「VBA」が高位安定、青「BI」と赤「RPA」はぜんぜん認知されていないという状況です。

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しかし、「世界」は、まったく異なる様相なのです。
次の折れ線グラフをご覧ください。

データを可視化するツールの青「BI」がダントツです!
赤「RPA」はまだまだですが、上向き傾向にあるのが分かります。
興味深いのは、日本と違い「世界」は、黄「VBA」が年々下降トレンド、しかも青「BI」とは比較にならない「低位」という点です。
これも「ファクト」です。

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「世界」を見れば分かるように、「日本」はかなり特殊な状況にあるといえます。

ブログ「モダンExcel研究所」のこちらの記事も参考にされると良いでしょう。

現場の声

世界と日本では、VBAやダッシュボードに対する認識が相当異なる、こうした点に気づかれている方も確かにいます。

なお、「本屋でモダンExcelの本が見つからない」というのは、当方の努力不足を感じ、反省………。

これからは「モダンExcel」で「ダッシュボード」の時代です!

Excelで自動化と言えば「VBA」が当たり前の「日本」ですが、「世界」を見れば様相が異なることを理解していただきました。

これからは、「モダンExcel」です!
「VBA」は、もう「世界」のトレンドから外れている、といっても過言ではない状況にあるのです。


それでは、拙著「モダンExcel入門」(日経BP)でご紹介している、「Power Query」「Power Pivot for Excel」による「経営ダッシュボード」のサンプル動画などを以下でご覧いただきたいと思います。

拙著「モダンExcel入門」(日経BP)のサンプル事例を動画を交えて紹介するよ!

一見すると、なんか複雑そうに見えますよね。

この動画の元データは、実は、次のような「販売データ」だけなんです。
普段目にする「CSVファイル」「テキストデータ」だけで作成しているんです!

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こうした「販売データ」のような「ファクト」を基に、たとえば ”地域” や "アイテム" など、データの切り口となる「ディメンション」で、データの新たな一面を見せているのが、上記の動画になります。

ここで登場する「ファクト」と「ディメンション」という「従来Excel」では聞きなれない単語などが、「モダンExcel」を理解するために必要となる「キーワード」になります。

拙著「モダンExcel入門」(日経BP)では、付属のサンプルデータを基に、上記の動画にある「経営ダッシュボード」を作成しながら、「モダンExcel」の2大ツールと言われもする「Power Query (パワークエリ)」と「Power Pivot for Excel(パワーピボット)」を「一体理解」できるように工夫がなされています。
ぜひ参考にして欲しいと思います。

なお、拙著「モダンExcel入門」(日経BP)では、上記動画「経営ダッシュボード」を作成する事例を取り上げていますが、これは「モダンExcel」でできることのほんの一例にすぎません。

「モダンExcel」は、実に色々なことができる、便利ツールです!

この「モダンExcel」を活用するには、「従来Excel」にはない概念を知る必要があります。
そして、知っておかなければならない大事な「モダンExcel」の基本もあります。
たとえば、正しい「カレンダーテーブル」を用意することは、「モダンExcel」のカナメの一つです。

まずは「モダンExcel」の基本をしっかり学んで欲しいと思います。
「モダンExcel」の基本をしっかり学ぶことで、あなたの日常業務を劇的に改善するヒントをつかめるようにもなるはずです。

「モダンExcel」の2大ツールと「従来Excel」とのFusion、つまり「一体理解」が「モダンExcel」活用の最大のポイントだ!

最新のExcelツールや機能には、実にさまざまなものがあります。
たとえば、「Decision Science」というMBAでは定番の「科学的意思決定」の領域で広く活用される「ソルバー」や「ゴールシーク」などは、その一例です。
最近では、「XLOOKUP」や「SPILL」という関数や機能なども、Excelで注目を浴びています。

そうした中、「日常的な経営管理」を目的に「モダンExcel」を使うというのであれば、とりあえず次の二つだけ理解しておけば、「モダンExcel」を活用するには十分です。

1.きれいなデータにする「Power Query (パワークエリ)」

2.きれいなデータからデータモデルを作る「Power Pivot for Excel(パワーピボット)」


これらが「モダンExcel」の2大ツールであり、それぞれの役割です!

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そして「ピボットテーブル」と「ピボットグラフ」をはじめとする「従来Excel」の機能を融合=Fusionする、これが「モダンExcel」最大の活用ポイントです。

「モダンExcel」と「従来Excel」を「一体理解」することで、上記動画のような「経営ダッシュボード」を、誰でも作成することができるようになります!

流行りの言葉で表現すれば、まったくプログラミング不要な「ノーコーディング」、ちょっとだけプログラミングする「ローコーディング」、こうした新たな技術を「モダンExcel」は持ち合わせています。

「でも、難しいのはちょっと……。」

ご安心ください!
「従来Excel」を普通に使っている方であれば、「モダンExcel」は理解できるはずです。
もっと端的に申し上げれば「ピボットテーブル」が分かる程度のExcelスキルがあれば、「従来Excel」で定番の「VBA」による「マクロ」よりも簡単に、「モダンExcel」を活用できるようになるはずです。

「モダンExcel、興味あるけど、どんなことができるのかな?」

以下では、拙著「モダンExcel入門」(日経BP)で掲載している「経営ダッシュボード」の内容を動画とともにご紹介します。
動画を見ると、「モダンExcel」でどんなことができるのかイメージできると思います。

(注)note で youtube を読み込むと、動画の表示欠損が発生することもあるようです。
その場合、恐れ入りますが youtube で動画をご視聴いただければ幸いです。

順位が上下に変動する横棒グラフと円グラフ

横棒グラフに注目!

グラフ上の「地域別スライサー」をクリックすると、「金額順」に自動で並べ替えできる。

従来から活用されている「ピボットグラフ」をほんのちょっとだけ工夫すると、Excelでこんなこともできるのです!

積み上げ棒グラフ

「データラベル表示」の工夫に注目!

「直販」、「店舗」、これらの「合計」、という3種類の売上高をグラフ内に「ラベル」として表示したい場合、単純に値の「データラベル」を表示すると、系列ごとに金額が表示されることになり、ちょっと困ったことが生じます。

「合計」を示すグラフでは「直販」「店舗」それぞれの合計が混在したラベル表示となってしまい、しかも「合計」の総額が表示できず、「データ」全体のイメージをつかみづらいグラフとなってしまうのです。

では、どうするか?

そのオリジナルの工夫は、拙著「モダンExcel入門」(日経BP)でご確認ください!

「トップ10」を表示したい? そんなの簡単!

従来Excelでおなじみの「条件付き書式」を「ピボットテーブル」に適用すれば、「トップ10」表示も簡単!

「ピボットテーブル」を好きな場所に張り付け、簡単に移動できるようにすることも、経営ダッシュボードを作成する際に考慮すると、便利ですよ!

詳しくは、拙著「モダンExcel入門」(日経BP)でご確認いただけます。

メーターと信号機で、目標値と実績を管理する工夫


右の緑色の枠線に注目!

緑色の枠線が「目標値」
吹き出しに、目標値とそれに対する実績の「達成度」を示す「信号機」を表示

緑色の枠線を埋める形で、各年売上高を反映し、
実績を積むと目標値に近づき、信号機が「赤」(未達)から「黄」(あと少しで達成)、そして「緑」(予算達成!)に変化するという、メーター表示のオリジナルアイデアです!

経営管理もビジュアル系の時代です!

「データ」はトレンドを見ることも大切!

折れ線グラフで移動平均を表示するのも、簡単!

「3期間移動平均」のようなトレンドを見るツールは、小難しいDAXなどは一切不要!

「モダンExcel」の基本をしっかり理解し、「従来Excel」をフル活用すれば、実にいろいろなことができるようになるのが「モダンExcel」の良いところ。
ぜひ、「モダンExcel」を試してほしいと思います。

「モダンExcel」を使いこなすポイントは、「従来Excel」とのfusion=融合にあります!

営業担当者ランキング

模造紙やホワイトボードに、営業担当者ランキングを手書きする時代は、もうおしまい!

「モダンExcel」と従来Excelの「ピボットグラフ」を使いこなせば、簡単にこうしたグラフを書くこともできますよ!
このランキング表は、海外の「モダンExcel」では定番の事例です。
筆者もマイクロソフトの勉強会で始めてみたとき、「おー!」となりました(笑)
日本ではまだまだマイナーなようなので、ぜひこうしたBump Chartといわれるような「ピボットグラフ」も積極的に活用してほしいと思います。

なお、「モダンExcel」入門者にありがちな、「イレギュラーなデータ」に現れる「グラフの表示上の課題と対策」についても、拙著「モダンExcel入門」(日経BP)でご案内しています。参考にしてみてください。


「なんか、これ、面白い!」

「これまでのExcelと、違うな!」

「よく分からないけど、凄そう!」

そう思われたのであれば、ぜひ拙著「モダンExcel入門」(日経BP)で、これまでとはまったく異なるコンセプトの「モダンExcel」の基本をしっかり学んでみて欲しいと思います!

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注意! モダンExcelには、二つの「流派」があります!

モダンExcelには、大別して二つの「流派」があります。
「正しいモダンExcel」と「なんちゃってモダンエクセル」です。

「なんちゃってモダンエクセル」の特徴は、従来からの「セル」思考を抜け出せず、正しいデータモデルを無視し、2大モダンExcelツールを別個に捉えます。
しかも、エラーをあえて発生させて問題解決をすることを提唱するなど、プログラムを行っている者から見れば、とんでもない「奇策」を提案し、モダンExcel界隈、その先にあるPower BIの利用者にも大変大きな混乱を与えている流派です。

「正しいモダンExcel」は、「セル」ではなく「列」で考え、「データモデル」の重要性を説き、Power Query とPower Pivot for Excelという2大モダンExcelツールを「一体理解」することを推奨しています。
もちろん、エラーについてはその原因分析を行うことを徹底し、当たり前ですがエラーを利用してプログラムすることは一切行いません。
なぜなら、こうしたことは「モダンExcel」の基本であり、「モダンExcel」を安定的、効率的に使いこなすために不可欠なことでもあるからです。

「正しいモダンExcel」は、マイクロソフトの「MSLearn」「Docs」などの「1次情報」をもとにしています。

拙著「モダンExcel入門」(日経BP)は「正しいモダンExcel」を推奨しています。




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