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暮らしの仕舞い

ひとつひとつ、タブを閉じていくように生活の痕跡を消していく。

約4年、自分の書斎として使ってきた部屋をたたむことになった。この春、娘が独り立ちし、自宅の部屋に空きができたため、戻ることにした。4年もいたかな、と思うほどあっという間だった。

思えば4年前といえば2020年。コロナが流行りだし、勤務していた病院は日本初の「コロナ専門病院」となった。外来は閉鎖されて、入院していた患者さんたちを他の病院に転院させるための手続きや準備で大騒ぎだった。

その後、勤務地が2度変わった。今の勤務地で働き始めてからもう2年。いつの間にかそんなに日がたっていたのだな。

それに並行して同じ時間をwebライターとしても働いてきた。少し稼げるようにもなり、軌道に乗って生活できるようになったら独立してフリーランスとして生きていこう……。

そんなことも考えたけれど、いまだに副業の域を出ない。毎月家賃を払えるだけの分くらいは稼げるけれど、それだけでは貯金が増えていかない。部屋が空いたのを機に、生活を縮小することにした。

撤退は大変だ。新しく始めるときの方が簡単だと思う。なんせ新しく買いそろえていけばいい。買えば設置するところまでお店がやってくれる。でも、撤収するときはそうはいかない。不要になったガス器具や家電ひとつ、自分で引き取り先を探し、処分するためにお金がかかるものもある。

それ以上に、築五十年の古くて狭いアパートだが、自分だけの場所として、居心地よいようにちょこちょこ手を加えてきている。小さな庭には大好きなクリスマスローズ。クリスマスローズは成長が遅いといわれ、はじめは全く花が咲いていなかった。が、この4年の間にすっかり株を大きくして花をいっぱいにつけている。せっかく根を張って大きくなった花たちを植え替えなければならない。

自宅はマンションで、ベランダは西向き。夏は灼熱の地獄になる。クリスマスローズは日陰を好むから枯れてしまうかもしれない。

感傷に浸っている時間はない。どんどん片づけていかないと、引っ越しシーズンだからすべてが予定通りに動かなくなる。戻ることになったからには、無駄な出費を生まないように、今月中にすべてが片付くように物事を進めていかなければならない。

長く娘の部屋として使われていた部屋で、これからも私はライターとして書き続けていくだろう。今度はお金を貯めて、ワーケーションに出かけたい。生活のページをひとつ閉じて、新しいページを開くのも、悪くない。

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