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墨家のリーダー? 「鉅子」を考える

 歴史雑記082
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はじめに

 戦国時代に活躍したさまざまな思想家たちを「諸子百家」、あるいは「先秦諸子」という。
 彼らは『漢書』芸文志では十家九流に分類される。道家、儒家、墨家、名家、法家、陰陽家、縦横家、雑家、農家、小説家、である。
 ただし、これはあくまでも芸文志における書物の分類であり、戦国期における各学派の実態とは必ずしも一致しないと考えられている。

 とはいえ、それぞれの文献を成書した集団(個人の著作というものは非常に少ない)は存在し、広い意味で「儒家」「墨家」といった分類もまた可能であろうと考える。
 さて、前回の記事では墨家のリーダーとされる「鉅子」についていささか言及したが、今回はより詳細にこの点を検討してみたいと思う。

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