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ジュディ・コリンズ ライヴ

Judy Collins(vo,g) 
ジュディ・コリンズ(ヴォーカル、ギター)
Russell Walden(p) 
ラッセル・ウォルデン(ピアノ)

昔語りで恐縮なのですが。大昔、わたくしが10代半ばの頃、当時の教育テレビで週一回「セサミストリート」が放映されていました。語学番組としての扱いで、テキストを買ってきてはよく見ていました。あの番組では、スティービー・ワンダー、ジョン・デンバーなど人気ミュージシャンもしばしばゲスト出演しており、ジュディ・コリンズという人を知ったのも、ここでした。番組の中で何回か聴くうちに澄んだ歌声に魅了され、高校生の頃には、廉価な輸入盤を買って聴いていました。

普段ポップスはほとんどチェックしないのですが、少し前、あの「ジュディさん」が来日、というのをたまたま見つけ、懐かしさのあまり席を取ったのでした。

ギターを抱えての弾き語りで登場、最初のナンバーこそ大丈夫かと心配になる部分があったけれど、何曲か歌っているうちにのどが落ち着いてきたように感じました。

"Suzanne"の切なさは、LPレコードで聴いた時のまま。"Both Sides Now"は大胆に崩したアレンジにちょっと引っかかったりしていたけれど、思い切りルバートを効かせてもちゃんと聴かせるし、最終的にきれいに回収されていくのは往年の大ヒットならでは。"Country Road"も披露、サビでは客席に向かって「歌って!」と呼びかけてくださって、みんなで歌いました。

美しい歌の数々にじっくりと耳を傾けつつ、今更ながら、自分が魅せられているのは、このかたの絹のような高音なのだと気づきました。ごく柔らかい生地にくるまれたままそっと抱き上げられるような浮遊感、優しく儚く切ない高音。でも、それはカントリーやフォークを徹底的に歌い込んできた盤石な基礎に裏打ちされてていると感じます。地声は流石にお歳相応で、たくみにファルセットを援用していらっしゃる様子。でも、高い音域に移行する時の、実に上品な色気は健在で、驚くと同時になんだか安心しました。

最新アルバムからの2曲はピアノ弾き語り。

どうかいつまでもお元気で。ぜひぜひまたいらしてください。(Blue Note Tokyo)

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