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F.I.B JOURNAL 20周年記念公演

出演:F.I.B JOURNAL(山崎円城、沼直也、真船勝博)
Guests:勝井祐二(ROVO)、ゴンドウトモヒコ(METAFIVE)、関口シンゴ(Ovall)
Special Guest Act : mama!milk

「追いかけて」いるとは言えない不真面目さで聴いている mama!milk がゲスト出演とのことで、青山へ赴く。先日、一柳慧追善公演で初めてお邪魔した能舞台である。

【mama!milk】
一曲目は An Ode、二曲目の Kujaku は互いに探り合いのような感触で、おや?と思う。アコーディオンの蛇腹の操作と発音の微かなズレがいつもより大きく感じられ、微妙な溜めが生じているかのように聴こえた。今回は能舞台での公演、おそらく生駒氏が繊細な感覚によって、今夜の会場の性格を看取したものに違いない。結果として、西洋音楽のかっちりとした拍節感とはいささか異なる不思議な音楽的時間が展開していく。場所に宿る雰囲気や来歴に繊細に反応しつつ音を紡ぐさまは、「サイト・スペシフィック」を志向するこのユニットならではだと思う。

Veludo などいつものナンバーを連ねていくと、だんだん調子が合ってくる。ao ではうねるような歌が聴かれた。生駒氏が Your voice、清水氏は An Ode、でソロを披露、それぞれのゆったりした呼吸による演奏が楽しめた。Charade は今回の独特な拍節感はそのままに、息もぴったり。最後の Parade では明るく賑やかな行列が通り過ぎていった。

清水氏は、F.I.B JOURNALの初代ベーシストであったとのこと、20周年という記念すべき公演とあって、一つひとつの音に特別な想いが感じられた。

【F.I.B JOURNAL】
初めて聴くバンド、山崎氏のヴォーカルによる歌ものが中心で、オリジナル作品はメッセージ性が強い。山崎氏の歌唱は味わい深く、嘘がないと感じられる。手持ちトラメガを使ってのシャウトは迫力があった。

大きな音のライブは久方ぶりで、序盤は度肝を抜かれてしまったのだけれど、後半から終盤にかけては耳と身体が徐々に慣れ、独特なグルーヴ感を楽しむことができた。

山崎氏のギター、沼氏のドラムス、真船氏のウッドベースはいずれもエッジが効いていて、しかも盤石。ゲストのお三方も皆手練れで唸らせる。特に関口氏のギターは独特の空気感があって、おもしろかった。(2023年8月6日 南青山・銕仙会能楽堂本舞台)

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