虚偽の婚姻届けによる夫婦関係があったことの事実は、家庭裁判所の無効確認が行われ役所に訂正申し立てが行われても、婚姻の事実があったことは消滅しない

ニュースにおいて有印私文書偽造による虚偽の婚姻受理がなされたことが報道されているが、この場合、家裁の無効判決により戸籍がどのような扱いを受けるのだろうか?気になるところである。
かつては中国人のブローカーなどを通じた中国(台湾含む)女による日本男との無効な婚姻届けの受理が問題とされたり、本件のような有名人のファンが勝手に婚姻届けを提出するという事が問題とされたが、当時も「婚姻無効が確認されても、離婚と区別がつかない」と言った批判があったし、数十年経ってるから戸籍法が改正されてるのでは?と思う読者もいるのではないだろうか?特に昨今は電子上で記録がされており、紙と違って訂正も容易な「はず」と考えるものも多いだろう。
恐らく2通りの考えが浮かぶだろう、
①完全に戸籍上から削除され、婚姻事実自体が消滅する
②無効表記により訂正が行われる(この場合、一見すると離婚と区別がつかない)
では、法律上はどのような規定になっているか確認しよう。

関連法規

戸籍法第百十三条 戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には、利害関係人は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正を申請することができる。

第百十四条 届出によつて効力を生ずべき行為(第六十条、第六十一条、第六十六条、第六十八条、第七十条から第七十二条まで、第七十四条及び第七十六条の規定によりする届出に係る行為を除く。)について戸籍の記載をした後に、その行為が無効であることを発見したときは、届出人又は届出事件の本人は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正を申請することができる。

戸籍法施行規則第三十一条  市町村長は、戸籍の記載をするに当たつて文字の訂正、追加又は削除をしたときは、その字数を欄外に記載し、これに認印を押し、かつ、削除された文字をなお明らかに読むことができるようにしておかなければならない。

まず戸籍の訂正は役所判断ではできないため、一旦受理された場合、家庭裁判所に訂正申し立てを行わなければならない。
これは1年ほどかかる。
さらに、訂正や削除が行われても明確に戸籍の欄外に記載がされる旨の規定がされており、仮に裁判において無効が確認されても「なお明らかに読むことができる」状態にある。
つまり違法な婚姻受理が行われたら、被害者は死ぬまで戸籍上に加害者との婚姻があった事実は残り続けます。
戸籍法は改正されていません!あしからず

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