乙女心はカボチャの煮つけ♡

カボチャの煮つけは、難しい。

煮汁が染みていないと、ホクホクというよりモサモサです。
冷めるとポソポソです。

かといって染みすぎても、カボチャの触感が台無しです。
味がよかったところで、ドロドロでは意味がない。

僕は半熟卵より少し固いくらいがベストです。
これも人によって好みは様々でしょう。
ああ難しい。乙女心というわけです。

昔、女の子をスパイダーマンの映画に誘って揉めたことがありました。
乗り気だった女の子が、急にスパイダーマンを罵倒し始めたのです。
僕もムキになって口論となり、その子とはそれきりとなりました。
今考えると、原因はいくつか思い当たるのですが……
かといってケンカを避けられたかといえば、わかりません。
心とは、カボチャの煮つけ。
好みの固さが違えば、決して互いに分かり合えないものです。

先日、母が作った煮つけがおいしかったので、レシピを聞きました。
しかし無言で首を横に振り、断られてしまいました。
他のレシピは教えてくれるのに……やはり乙女心ゆえでしょうか?
ですが母はこう答えました。
「乙女心など不要。カボチャの煮つけは意地で作る」
よくわかりませんが、なんだか含蓄がありそうです。
それから母が言葉を紡ぐことはなく、黙々とビールを飲み始めました。
僕があとで飲もうと思って冷やしておいたビールでした。