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※↑の続きです 舞はイチコに事務所まで送ってもらい、そこから家へ戻った。すでに母が仕事から帰っており、台所でコップをすすいでいた。 「おかえり、舞ちゃん。でかけてたの?」 「ただいま。バイト先の人と遊んでた」 「上手くやってるみたいね」 「まあ、うん」 「よかった。神様は、頑張ってる人をちゃんと見ている。努力を怠らなければ、これからも必ずいいことがあるから」 「はいはい」 いつもの胡散臭い話が始まった。舞は慣れているので、普段ならばなんとも思わないが、今日は違った。 (
※↑の続きです。 舞は顔を洗い、歯を磨き、パジャマのままリビングに向かう。 テレビ画面では『プラプラ沈々喪中下車の旅』という番組が流れている。身内に不幸のあった芸能人が、都心部の電車に乗って、気になる駅で降りてその町に住む人妻をナンパするという内容だ。土曜の朝ということを抜きにしてもイカれている。少なくとも舞が物心ついたときから放送されているが、人気の理由はよくわからない。 そんな番組を母がひとりでソファでくつろぎながら見ていた。妹はデートに出かけているのだろう。昨日
※↑の続きです。 裏筋駅から徒歩5分。デパートの裏手、パチンコ屋“玉キング”脇の細い路地を入ったところにピンピンカートン探偵社の事務所は―― 「ない!!」 見知らぬ雑居ビルが、そびえ立っていた。壁の塗装があちこち剥がれ、いかにも昔からあったという雰囲気を醸している。 舞は”隠匿”の魔法なるものが事務所に施されているとイチコから聞いたのを思い出す。外部からは事務所を見ることはできず、そもそも探偵社の存在を認識すらできない。一部の例外を除いては。 舞もそのひとりのはずだ
※↑の続きです。 ステージの上手と下手、それぞれから2名ずつ、人影が背を向けたまま躍り出てくる。 4つの影がこちらへ振り向き、気だるげなステップを踏み始めた。 影がステージの階段から降り、スポットライトもそれに追従する。 「はあ!?」 舞は4人の姿をハッキリと捉え、目を剥いた。 中央――いかりや長介のポジションに綾子。 右端――高木ブーのポジションに、いつのまにか人間に戻った岸田。 中央左――仲本工事のポジションにブルー。 左端――志村のポジションはいない
※↑の続きです。 綾子がそそくさとホールの出入り口へ歩き出す。 「私と軍団はリムジンで帰るから。岸田、運転頼むわよ」 「かしこまりました。ではイチコ様、水原様。綾子お嬢様のお宅でお待ちしております。イエローがJリーグカレーを用意して待っているはずです」 「うわ~い、Jリーグカレーだ~!」 イチコが子供のように飛び跳ねる。だが舞は困った。帰れと言われてもどうしろというのか。 「ハイエース、動かないんですけど」 「ああ、それでしたら……」 轟音と共にホールの壁の一部が吹っ
※↑の続きです。 ---------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐---------‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 先月、自社の職員を脅迫した疑いで、警察は株式会社エメラルドアクティブの社長、神沼 蓮 容疑者を逮捕しました。 神沼 容疑者は批判的な社員に対し「野グソしている写真をばらまくぞ」「このことをバラせば訴える」などと脅した疑いが持たれています。 また警察は、神沼容疑者が開催した講演会の出席者約100名が行方不明になっている件について