小説ですわよ第2部ですわよ2-6
身体の背面全体に痺れるような冷たさを感じ、マサヨは目を覚ました。鉛色の空が視界を覆っている。そこで自分が地面へ大の字になって気絶していたことを察した。
やや倦怠感はあるものの、怪我を負った形跡も痛みもない。ゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡す。車輪のついた自動車が行きかい、通行人たちの表情は……普通だ。真顔であったり、外套をまとって身を縮こませたり。マサヨがよく知る世界の風景である。
(もしかして戻ってこられたの?)
しかし、つい今まで乗っていたバイクはない。
「愛助?