小説ですわよ第2部ですわよ2-5
「あたしと、田代まさしの因子が近い? 名前が似てるだけでしょ。子供のころ、よくイジられたわ」
「田代マサヨ。その名を授かった時点で、君と田代まさしは繋がれているのだよ。名は人の運命を決定づける重要な因子だ。君が田代マサヨでなければ、名前をイジラられることもなかった。君も田代まさしを意識することなどなかった」
神沼は飴玉を転がす舌を止めた。頬に飴玉が当たり、ぷっくり膨らんで気持ち悪い。低く落ち着いた声から、真剣に語っているのは確からしい。表情は相変わらず人形みたいな笑顔だが。