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プロジェクトバッファとフィーディングバッファ

 プロジェクトバッファとフィーディングバッファについて考えてみましょう。CCPM(Critical Chain Project Management)は、エリヤフ・ゴールドラットが開発した制約条件の理論(TOC:Theory of Constraints)に基づき全体最適化の観点から開発されたCCM(Critical Chain Method:クリティカル・チェーン法)を発展させたプロジェクト管理手法です。ゴールドラットは、各タスクにおいて各作業者は作業所要期間見積りを約2倍のバッファをもたせて確保しようとすると指摘しました。このような自己申告による余裕ある日程計画においては、各作業者は学生症候群を引き起こして作業着手を先延ばししたり、早期に完了してもパーキンソンの法則にみられるように予定の計画終了日まで完了報告を上げないといった問題が起こり、結局は「余裕ある日程にも関わらず遅延が発生する。」と指摘しています。こういった事態を改善するために、「プロジェクトバッファ」「フィーディング(合流)バッファ」という概念を導入しました。

 プロジェクトバッファ(Project Buffer)は、プロジェクトのスケジュールや期日に余裕を持たせるために設けられる余白のことを指します。これは、予期せぬ問題や遅延が発生した場合に対処できるように、計画されたスケジュールの終了日から一定の余裕を確保することを意味します。プロジェクトバッファは、プロジェクト全体のリスク管理の一部として考慮されます。個別の作業でバッファ(余裕)を持つのではなく、最後にプロジェクト全体として余裕を集積する手法です。たとえば、工程A,B,Cの期間見積りがそれぞれ3週間だったとすれば「厳しいが50%程度の確率でやれそう」な期間を再考します。その結果、2週間ずつに縮まったとすれば、余った3週間をまとめて「プロジェクトバッファ」として管理します。プロジェクト・マネジャーは、各工程の担当者が2週間の締め切りを守れなくても現場を責めたりはしません。全体の進捗がプロジェクトバッファにどれだけ食い込んできたかを管理します。早く終わった工程はすぐ終了宣言を出してもらい担当者を休ませるなどインセンティブを与えます。3週間のバッファの大半を食い潰しそうになると救援を手配するのです。

 フィーディング(合流)バッファ(Feeding Buffer)は、製品や生産物の製造や提供におけるスケジュールの安全マージンを指します。これは、需要の変動や製造プロセスの遅延などの要因に対処するために、製造や提供のスケジュールに余裕を持たせることです。フィーディングバッファーは、生産管理やサプライチェーン管理において重要な概念であり、生産ラインの効率性や顧客サービスの向上に役立ちます。クリティカル・チェーン上の作業に合流する非クリティカルな作業の合流前にバッファを設けることでスケジュールを守る確率が高まるのです。

 要するに、両者ともに予期せぬ問題や遅延に対処するための安全マージンを提供する目的で設けられますが、プロジェクトバッファはプロジェクトのスケジュールに関連し、フィーディングバッファは生産や提供のスケジュールに関連します。

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