スクリーンに吠える②

    ②


映画とは、感情の神経を掴んだものである。活動する心理学である。

すべてのよいシーンには、理窟や言葉で説明することの出来ない一種の美観が伴う。これをシーンのにおいという。(人によっては気韻とかいうだろう) このにおいは、映画の主眼とする陶酔感的気分の要素である。

においの希薄なシーンは、映画として価値のすくないものであって、いわば香味の欠いた酒のようなものである。こうゆう酒を私は好まない。ショットの表現は素樸なれど、シーンのにおいは芳純でありたい。


               【 つづく 】

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