スクリーンに吠える③

    ③

映画鑑賞者に希むところは、スクリーンの表面に表れた表象や「ことがら」ではなく、内部の核心である感情そのものに感触してもらうことである。 

登場人物の「かなしみ」「よろこび」「さびしみ」「おそれ」その他のセリフやアクションでは現しがたい複雑な特種の感情を映画は編集のリズムによって表現する。しかしリズムは説明ではない。リズムは以心伝心である。そのリズムを感知することの出来る人とのみ映画は、手をとって語り合うことができる。

                 【つづく】 




   

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