「お早う」と「おはよう」

 ジョギングしている途中、急な下り坂があった。ゆっくり下っていると、正面から制服を来た女の子が2人、自転車で上ってくる。
そして、一人が、ついに諦めたのか、自転車を降り、自転車を引きながら
上り出すと、後ろにいた子も自転車を降りて、自転車を引きながら
上りだした。
 2人が話している声が聞こえてくる。
 段々、近づいてくる。
 中学生らしい。

 そして、すれ違うときに「お早う」と声をかけたら、後ろの子が
ニコニコしながら「おはよう」と答えてくれた。
 おや、と思った。
 こういう時、女の子は大抵、シカトするか、あるいは「お早うございます」としっかり返事することが多いのに、この子は「おはよう」と答えた。
しかも、ニコニコしながら。

 ああ、こういうこともあるんだと、楽しくなった。
 ひょっとしたら、あの子には、仲の良いお爺さんがいるのかな、などと
考えているうちに坂を下りきって、いつもの公園に着いた。
 ここでは、今日も鶯が啼いている。今日も、いい練習ができそうだ。


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