シュートレンだと思ってたパンがシュトーレンだった。

 昨日、帰路の途中にパン屋を発見しました。
パン屋の店先に置かれた黒板ぽい看板が目に入りました。
そこには「クリスマスはシュートレン」と書かれていて、
シュートレン!!おもろと思った私はネットで調べるなんて無粋はやめて明日買って知ろうやと考えました。
そして今日、シュートレンの正体を突き止めようと思います。
 いつもは自転車と同じ速度で歩道を駆けている私ですが、今日はゆっくり二足歩行で帰ります。
 いつもは店の看板も、赤、青、青……の色集合でしかなかったものが、文字を通して意味を持つ、識字の真骨頂。
なんて思ったらありました。酵母にこだわっているパン屋っぽいです。
 店前のおしゃれなプレートにも書いてありますね、本日のお目当て、
シュー、シュトー……レン……。シュトー……レン。シュ……トー……レン。
「シュートレンじゃない……。」
お前マジか。
「シュートレン食べてシュート連を頑張ろう」
みたいなダジャレができると内心ワクワクしてたのに……。
いや、せっかくだから食べよう。
と泣き出しそうな気持ちを必死に抑え込み、コジャレた店に入ることに若干の不安と抵抗を覚えながらも入店。

「カランコロンッ」

 さすがはパン屋、目の前に陳列された物はどれも美味しそうな小麦色。
(小麦から出来ているものに小麦色と形容すると、小麦のまま提供されているのでは?と感じるかもしれないけど、これはパンです。)
「クリスマス限定」
と銘打った編みかごの中にお目当てのものがあった。
シュトーレン……お前の姿を現せ!
えっと……正直な第一印象を言うと、デカいダイオウグソクムシ。
(美味しそうではある。)
おそらく雪をイメージした粉砂糖で全体的に白い。どんな味なのかと手に取ろうとした瞬間、止まった。

「1 2 0 0 円」

うわっ……

「ハーフで760円」

うわ、うわわ…………ちょっと損。

結局何も買わずに店を出た。
私は何も見てない。私は何にも囚われない。
シュトーレンなんてなかった。
身を拐われそうになるほどに強い寒風を胸で弾き返す。
逃げ場を失った興奮をシュートしたい。
私は思わずファミマに駆け込んだ。
速かった。

「ファミチキ2つください」
「356円になります」
手汗にまみれた硬貨を飛ばす。
「ちょうどですね。レシートです。」
「ありがとうございまs…」

このファミチキの味は忘れないだろう。
私はこの時確信したのだ。
「レジ横のエースストライカーはお前だ」

   
!!!!ゴーーーーーーーール!!!!!
 




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