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境界戦機感想 第1話② 「いかにも弱い者虐めみたいな扱いだけど…?」

引き続き第1話の感想を記事にしていきます。
前回は作中で語られた現代日本の事情と、それに符号しない緩い生活を送りながら不満を垂れ流す主人公、アモウ君の歪さについて言及しました。

漫画版ではオーストラリア軍人に追求される下りで「日本が破綻寸前まで行ったってのに(親の遺産と奨学金で)ぬくぬく一人暮らししてぷらぷらピクニックとはいい気なもんだな」みたいな嫌味を言われる下りが追加されていますが、まぁ完全に同意です。

さて今回は、そんな風に嫌味を利いてくる、アモウ達の住む地域を支配している悪役、オーストラリア勢力の軍人の言動や描写に焦点を当てて語って行きたいと思います。


①軍人のやってる事間違ってもなくない?〜圧政者オーストラリア軍人?〜

アモウ君が漁ったパーツを山中の工場に持っていこうとする道中、
日も落ちた夜に、人手のない山の中を歩いている所を、前回も言及しましたがオーストラリアの軍人に取り調べを受けます。

曰く、付近の場所で放棄されている、アメインのパーツを盗まれる事態が多発しており、丁度アモウ君位の年齢の男数人のグループが犯行していると思われるのだという。

なんとか直前に出会った自立思考型AI、ガイのアイデアもありその場は切り抜けられますが、
廃棄されているとはいえ軍の機体のパーツかっぱらう事も、あまつさえそれを見知らぬアメインを建造する為に使う事も普通にちゃんとした犯罪としか思えません。
特に後から分かる事だけどアモウ君が組んでた機体元々テロリストが受領してた機体だしね…

場面は切り替わり、分隊長会議で戦闘の少ない辺鄙な所に配属で羨ましいと嫌味を言われたと愚痴をこぼし、なんとしても、それこそテロリストをでっち上げてでも功績をあげると宣言するオーストラリアの軍人。

その後、アモウのパーツ漁り仲間の荷物を無理矢理調べた所廃棄パーツが見つかり、廃棄パーツ窃盗の現行犯、ではなくテロリストとして身柄を拘束します。

車の改造にしか使って無かろうが、常習性をもって軍の廃棄された機体のパーツ盗んでいる集団を逮捕するのは別段おかしい事では無いと思うのですが、容疑をかけられた少年達は「なんで!?俺達車のカスタムしか…(言葉はここで遮られる)」と不当を主張し、あたかも罪のない日本人に対して犯罪をでっちあげているというような悪役扱いがされています。

さらにそのオーストラリア軍人はアモウも窃盗に関わっている事を突き止め、廃工場まで逃げ込んだアモウ君を追い詰めます。

パーツ漁り仲間を人質に取られ大人しく出ていこうとするアモウに対し、「今出ていったらそれで終わりだぞ!言いがかりみたいな罪を着せられて一生刑務所暮らしが望みか!?」とガイが引き止めます。

アモウ君がやった事
・仲間達と常習的に軍の廃棄アメインからパーツを盗む
・そのパーツを使って出処のわからないアメインを組み上げる
・捕まった後調べていけば分かっただろうが、そのアメインは元々テロリストが供与を受けた物

これをテロリストとして捕まえる事は本当に言いがかりみたいな罪なのか?

テロリスト捕まえようとしてちゃんとした危ない奴の尻尾を掴んでいるのだからお手柄としか言い様がありません。
テロリストではないパーツ漁り仲間もまあ窃盗の常習犯ですから、何の罪もないのに横暴に苦しめられる可哀想な日本人と、手柄欲しさに無実の人間を拘束する占領軍の軍人という作中で示したい構図が完全に崩壊しています。

②やっぱりヤバくないかアモウ君 〜境界戦機初の戦闘シーン〜

そんなこんなでガイの話を聞き入れ、死中に活を求め組み上げたアメイン、ケンブを起動させ包囲しているオーストラリア軍のアメインに討って出るアモウ君。

大立ち回りの末アメイン2機を撃墜し、晴れやかな顔で「アメインに乗って敵を倒した時、世界が変わった気がしたんだ!」等と言い出し第1話は終了。
こんな描写だと作ってる側からしてももうアモウ君は最初から狂人として作っているのかもしれない。

というか、人質を取られている状況をなんとかするのが行動の目的だったはずなのに、人質なんとかして終わりでも、メイレス起動してここから戦います!で終わりでもなく、敵のアメイン倒してなんかスッキリして終わりな辺りに、作品全体を通して感じられる視野の狭さとか自分本意さがもうのっけから現れてしまっているなぁと思いました。

③まとめ

その思想の是非や描写の巧拙はともかく、「支配された日本の中で鬱屈した暮らしを送る主人公が、AIのガイ及びメイレスと出会って戦い、気持ちに変化が訪れる」位のふわっとしたやりたい事は伝わっているだけ他の話よりはマシだなという気持ちです。

実際、リアタイ勢の当時の感想も、「思想の強さはやばいと思うけどまぁ今後に期待」ぐらいの評価だったと思います。

裏を返せば、ここからどんどん何がしたいか、何を伝えたいかという基礎の部分からグッチャグチャになっていくという事でもありますがね…

今回の感想はここまでになります。

今後もこんな感じで注目する焦点を絞りつつ境界戦機を語れると良いなぁと思っているので良かったら次も注目して見て頂けると幸いです。




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