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Fate/Samurai Remnant感想

Fate/Samurai Remnantの本編のみ、追加エピソードなしの感想になります。
最初の「おすすめ度&総評」の部分までは致命的なネタバレなしなので、未プレイの人でも読んで大丈夫です。

おすすめ度&総評(ネタバレなし)

総合評価 4 / 10
★★★★☆☆☆☆☆☆

正直あまりオススメはしないです。少なくとも私にはあまり向いていないゲームでした。
以下ネタバレを排除した簡略なレビューになります。詳細は後半で。

シナリオ

  • 型月シリーズ屈指の貧乏主人公。

  • 文章がしっかりしていて読み応えはあるものの、シナリオ全体としては腑に落ちない点が多く不完全燃焼な内容で、追加DLCありきの完全版商法が疑われる。

  • ルート分岐は少なく、後半で数回分岐があるものの分岐発生時点でストーリーがかなり進行しているため、実質1.5ルートくらいの内容。

  • シナリオの読み返し機能が貧弱。

探索

  • 本作はゲームを進める上で探索やお使いやミニゲームなどを挟むことが多かったが、探索フェーズにおいてはストレスは少なく、舞台となった江戸の雰囲気を楽しむことができた。

  • ミッション達成条件の敵やシンボルが指定の場所になかなか現れないな…というストレスはあったが、やり込み要素なのでスルーしてもOK。

  • 霊地争奪戦というミニゲームがあるが、ほどよく簡単で楽しめた。

  • 装備を強化したり色々できるオプションもあったが、どれほど意味があったのかは不明。ダメージ計算式などを教えてくれる訳でもないので不親切な要素という印象が強く、プレイ中もスルー気味だった。

バトル

アクションゲームはそこそこやるけど無双系ゲームが嫌いなプレイヤーによる感想になります。
かなり序盤から一番下のプレイ難易度(剣客)に下げて遊んでいます。

  • 敵が硬くて攻撃している感じがない。

  • エフェクトや表示がわかりにくい。防御姿勢を取っていない相手を攻撃しても何故かダメージが通らなかったりする。

  • カメラワークが悪くストレスフル。3Dゲームの視界が苦手な人にはおすすめできない。

  • 難易度剣客でも全然イージーじゃなくてとても大変。

    • アクションゲームが苦手な人はクリアできないと思う。

    • 難易度を下げて死ににくくなった気はするけど倒しやすくなった手応えがゼロなので、難易度変更では敵の攻撃力しか変わってないのではと疑っている。

    • 「マスターは弱いのだからサーヴァント相手の戦闘は控えろ」というような会話があり主人公も同意しているのだから、少なくとも低難易度では制限時間無しでセイバーで戦闘させて欲しかった。

    • 2023/12に追加で更に低い難易度が実装されたそうで、これは制作側も難易度調整ミスったなと気付いたのではなかろうか。調整の詳細は確認していないけど。

  • 戦闘中に宝具を直撃させても倒れない敵に違和感がすごい。Fate/stay nightではエクスカリバーを当てれば相手はだいたい死ぬか重症なのに…。
    せめて相手が防御とかしてれば印象も違うのでしょうが、3Dで直撃演出を見せられちゃうと違和感がどうにもならない。
    ここはゲームシステム上の都合でしょうね。ゲーム都合に世界観が歪められてる感じがして残念。

  • 無双系ゲームの戦闘が爽快感マイナスで嫌いなのですが、この作品のタイトルに無双って入ってないから油断していました。バトルがとても無双系の気配を漂わせています。事前にわかっていれば購入せずゲーム実況などに頼ったかもしれません。

  • 一般人と伊織とサーヴァントの強さの差をバトルで表現しようとしたらしいのは一応知っていますが、それ以前の話で単純に戦闘がつまらないし、世界観の表現として不適切な戦闘システムを採用したように見えています。

ボリューム

やり込み要素はやっていなくてシナリオコンプしつつ2周クリアしただけですが、バトルありでプレイ時間30時間以上(Switch表記)と考えると思ったよりボリュームが少なかったというのが正直な感想。
文章オンリーの月姫でも35時間なのに、バトル・探索・ミニゲームありの本作が似たようなプレイ時間というのは、特に文章面に期待していた私としては期待外れなボリュームでした。
あくまで参考値ですが、私が最近プレイしたゲームのプレイ時間をピックアップしておきます。

  • ノベルゲー

    • 月姫:35時間以上(Switch表記)

    • 魔法使いの夜:15時間以上(Switch表記)

    • Fate/stay night:60時間ちょっと(過去のPC版、記憶頼り)

    • パラノマサイト:10時間以上(Switch表記)

  • RPG

    • オクトパストラベラー1:70時間以上(Switch表記)

    • ライザのアトリエ1:80時間以上(Switch表記、シナリオ初回クリア時)

    • ライザのアトリエ2:55時間以上(Switch表記、シナリオ初回クリア時)

その他

  • 何度か選択肢が発生したり2周目要素があったりするため本作のシナリオを全て読もうとすると2周目のプレイが必要となるのですが、2周目が楽になる要素はパラメータが強くてニューゲーム状態という以外に特になかったのが非常に残念でした。
    2周目以降では一度クリア済のバトルのスキップとか、次の選択肢までスキップとか、そういう機能を用意して欲しかったなと。2周目をプレイする人が見たいのは1周目との差分であって何度も同じ探索やバトルをやりたい訳じゃない。

    • この残念度合いはかなり重く、5分のシナリオを読むために1時間も一度クリア済みの敵と戦わされたり同じマップを再探索させられたりといった苦行を強いられるようなバランスになってしまっています。
      そのため2周目以降でプレイヤーに与えるストレスが非常に高く、シナリオを純粋に楽しみにくくなっていました。

  • 私はFateシリーズを多少は履修済みでしたが、特にFGOをプレイしていない人が本作のシナリオを読んだ場合、シナリオから受ける印象にちょっと不安を感じています。

  • シナリオはFateシリーズ初見には厳しい内容なのではないかと感じましたが、紹介記事では「『Fate』入門にもピッタリの間口の広いストーリー&バトルに注目」などとされているため、これはガチ入門者の感想が気になる点です。

  • DLCで追加エピソード1〜3まで予定されていることを考えると、どうもこれは完全版商法的な、追加分を含めて全て読むことを前提としたゲーム構成になっているように感じています。本作だけでは不完全燃焼となる内容でした。

  • 鑑賞モードに連続再生モードがなく、また選択肢によるシナリオの分岐を分けて管理していないあたり、そもそもゲームとしてシナリオ面に力が入っていないような雰囲気も感じられます。後からシナリオの読み返しをすることをあまり想定していなさそうでした。

もしゲーム購入検討中の方が本記事をお読みでしたら、購入是非の参考になれば幸いです。
ネタバレ控え目はここまで。
以降は気にせず感想を書いていきます。

各陣営感想と残された謎

だいぶ投げっぱなしな謎が多いまま終わりましたが、追加エピソードで回収するのでしょうか。
表記がブレていますがクラス名と真名の書き分けには特に意味はないです。

セイバー&伊織

Google先生によればセイバーは西暦72年~114年の人物。
フレーバー程度のような気もしますが、Fate世界では基本的に古いほど神秘として強いという設定があるので年代はそこそこ大事。
ヤマトタケルといえば知名度補正が本作最高となる上に日本でこれより有名な英雄もなかなか居ない、作中最強格のサーヴァント。それを最優のセイバークラスでの召喚。もう勝ち確ですわ。
プレイ前からヤマトタケルかスサノオあたりが本命でしたが、的中でした。余談としてFate世界的にスサノオはどれくらい神なのかが考察中の気になりポイントでした。(100%神だと英霊として召喚されないため)

主人公の伊織は男武蔵の弟子、かつ佐々木小次郎の弟子ということでさりげに浮気者、もとい師匠も二刀流な主人公。
二刀流燕返しは反則やろ…そんなん絶対カッコイイじゃん…。
武蔵ちゃんを倒すあたりが盛り上がりのピークでしたね。地味なポイントですが決戦場所が坂や階段ではなく平地なのも良き。
いつかカルデアに召喚(配布)されそう。そして召喚された伊織はきっと色んな剣豪とシミュレーターでバトルできて楽しそうです。
本作ではマスターもサーヴァント0.5人くらいの戦闘能力があって、純粋戦闘力では最強ペアだった可能性があります。
伊織は衛宮士郎とは違う方向性の狂人でしたね。でも伊織みたいなの好きな日本人は多そう。
伊織とセイバーは願いはどちらも盈月の儀を通して叶えられるけど盈月そのものは必要としていない点が共通していた、ある意味では似たもの主従。
それにしても八岐怒涛はほぼビーム攻撃のように見えるんですけど、剣技の観点で憧れる部分があるんですかね…めっちゃ剣技に見惚れたような描写があったけど…などと岡田以蔵のようなことを思っていました。ビームはズルいやろ剣士的に。
でも伊織も風の型とかは魔術飛ばしてるしアリなのかな?

ヤマトタケルは型月ヒロインらしい食い気と可愛さを両立した味付けでありながら伊織とのバディものという側面を強く前面に出していましたが、カヤもといオトタチバナヒメとの関係も無視できない点でした。ちなみに性別不明らしいですが女装伝承を持つ男性だと勝手に思ってます。
オトタチバナヒメとの関係はイチゴのショートケーキのような素直に愛し合う夫婦だったのでそれほど特筆すべきものはないのですが、死に方に後悔がありそうなのに聖杯に願うことはないのがアルトリアとは違うなとは思っていました。ただそもそもカヤ含めてオトタチバナヒメ側の深堀りが少ないので不完全燃焼です。思えばオトタチバナヒメ抜きのカヤの養子エピソードの深堀りとかも全然ないですよね…。まあここはストーリー本編に関係ないから設定資料集案件と言われればそれまでなのですが。

まだ解けていない謎はこの辺り

  1. 伊織はなぜヤマトタケルを召喚できたのか?
    Fate/SNの士郎がアルトリアを召喚できたのには本人が当初気付いてないだけできちんと理由がありましたが(たしかFateルートのみ気付ける)、ヤマトタケルの触媒は何かあったんですかね。次に書くストラップ的な何かが少し怪しい気はしています。
    地味にドロテアもこの点は冗談めかして質問していました。あんな強力なセイバーをどうやって召喚したのか、と。
    やっぱ疑問に思うよねそこは〜というのと、この発言を見て作品としては一応回答が用意されていそうだなと思っています。

  2. 伊織とカヤが持っているお揃いのストラップ的なものは何なのか?
    怨讐の焔ルートで最後に見えて気付いたけど、この二人はお揃いの何かを身に着けてるんですよね。これが剣鬼ルートだと伊織の持っている方が血に濡れている。
    わざわざキラッとユーザーにアピールされてる感じがしたし、何か意味のあるモノな気がするんだけどわからない。どこか別のところでも出してて見逃してそうな気もする。

  3. 紅玉の書って何者?
    世界観的には自律で考えて喋る礼装ってhollowで遠坂凛が持ってた愉快型礼装と事件簿のアッドくらいしか覚えがないんですが、どっちも結構ヤバ目のやつなんですよね。
    生前のジャンヌの顔に見覚えがあるということは少なくとも西暦1431年より前には存在していたことになりそう。
    ひょっとしたらあまり重要な謎ではないかもしれないけど、世界観設定としては気になるところです。

  4. オトタチバナヒメについて伊織が気付かない(考える素振りすらない)のは何故か?
    これは疑問というよりプレイヤー的モヤモヤかもしれない。
    蛇毒が一晩で快復しすぎなのをもう少し疑問に思おうよ、とか。
    伊織の前で15騎目の匂わせ会話いくつかあった気がするけど伊織は全スルーとか。気付かなくても良いけど考える素振りくらいは欲しかったなと。
    セイバーとカヤを二人きりにするシーンで「馬に蹴られないうちに退散する」みたいに言ってるシーンがあるから実は気付いてるのかもと思いきや、カヤ2度目の誘拐で「もしやカヤに何かあるのか?」と言うシーンがあることから全然そんなことはなかった様子。

ランサー&地右衛門

ランサーは西暦1412年〜1431年の人物。享年19歳だったのか。
年代の新しさ、舞台が江戸で知名度補正がほぼゼロであろうこと、精神汚染で本来より弱体化していることなど総合するとおそらく本作で最弱のサーヴァントと思われる。
それにしては序盤でめっちゃ強気に立ち回ってたよなコイツ。Fate/SNでメデューサがアルトリアにあっさり切り伏せられた時くらいの大きな力の差が他サーヴァントとの間にありそうな気がするのだが…。

ちなみに事前に何かの記事で「ジャンヌに見えるけど実は…!?」みたいなのを読んでいたのですが、これでジャンヌじゃなかったら何だろうなと考えてたら普通に真名ジャンヌ・ダルクでズコーッてしちゃった残念枠。

このペアはマスターとサーヴァントの在り方についてあまり詳しくは描かれないけど匂わせが多い感じですね。読者が補完していく部分が多めですが、別に描写がそこまで不十分という訳ではない。
ジャンヌは優しいから縁に関しては触媒が十字架だけとかでも召喚に応じてくれそうだけど、救いが必要だと思われないと召喚できなかったんだろうなとも思う。地右衛門はあまり多くを語らないためわからないことが多め、かつ感情移入もなかなか難しかったです。

まだ解けていない謎はこの辺り

  1. 地右衛門はどうやって盈月の儀の存在や召喚方法を知ったのか?
    マスターの参戦経緯がそれぞれ、土御門は胴元、ドロテアと鄭成功は幕府リーク組、伊織と高尾太夫は飛び入り、由井正雪は明記されてないけど土御門と繋がりありそうなので多分そこから。
    由井正雪と地右衛門が手を組んだのは召喚後なので地右衛門はそこから情報貰ってないはずなんですよ。でも飛び入りじゃなくてしっかり召喚陣を描いて呪文も唱えての参戦なので、事前情報があったのは間違いない。どこか読み逃してるか…?

  2. 1回目のカヤ誘拐で何がしたかったのか?
    あの時点でサーヴァント誰も落ちてない訳ですが、カヤの使い道は如何に。
    15騎目と思っての誘拐らしいが、誘拐して軟禁でもしとくつもりだったのか。相手は仮にもサーヴァントなので戦闘能力を持っている可能性が高く、長期間軟禁は普通に考えれば難しいはずですが、霊体拘束用の用意があったようにも見えない。殺すならその機会はいくらでもあったけどそれもしていない。
    ランサーの口ぶりからは「今死なれると困る」のだろうと予想されるけど、やっていることが中途半端すぎてここの行動は後から考えると本当に謎でした。

  3. どうやって土御門の洗脳を回避したのか?
    読み逃したのかもしれないけど、ジャンヌは特別この洗脳を逃れられるような要素を持っていなさそうなんですよね。既にマスターから精神汚染済みだったからとか、そういう…?

アーチャー&鄭成功

アーチャーこと周瑜は西暦175年〜210年の人物。
マスターとの相性も良く宝具も強そうだったが何度か戦闘シーンありつつ1騎も落とせていないので実はサーヴァント的には結構弱いのか、シナリオの犠牲になったか。本人に武の逸話があるわけじゃないし、似た出自の孔明や陳宮がキャスターであることを考えると本来はキャスター適性が高かったりしても不思議ではない。
そうは言っても弱点らしい弱点もなくマスターもやる気十分、というかマスター自身も英霊になってておかしくない人物なのでバランスの取れた素直な優勝候補枠でした。神秘的に弱かったためか土御門の初見殺し大魔術に操られてあえなく脱落。不憫。もとい普通に戦うと落としにくいからというストーリー都合で搦め手で落とされたのでは枠。
こう書くと伊織が紅玉の書サポートで支配を抜け出したの運が良すぎますね。
周瑜はちょいちょい生前の主のこと匂わせてくるのがホントもう…って感じでした。何とは言わないけど一部の女性プレイヤーに人気が高そうな主従。これライター狙ってますよね。

この組だけ残された謎が思い付かない。メタ的にはマスターの生存敗北がほぼ確なのもあって安心してみていられるペアでした。

ライダー&由井正雪

ライダーはわからないけど、頼光は西暦948年〜1021年の人物。
神秘殺しのワードは途中で出てきたものの、頼光はFGOで知ってるし見た目的に違うよなと思っていたらまさかの丑御前でした。そう来たか。
由井正雪は色々わかってから見れば常に他陣営の動きの先を読んでいて、実際に盈月に最も近付いた陣営と言っても過言ではない優秀な陣営でした。本当に頼光なら勝ててたかも。マスターは良くも悪くも純粋すぎたか。
「矮小十把、塵芥になるがいい!」の台詞はFGOで聞き慣れていたにも関わらず震えましたね。まさかお前その台詞は…いやその見た目で!?

一条の光エンドの正雪のアレはシーンとしては非常に良かったけど唐突感もありましたね。良くも悪くも伊織主観の描写が多いせいか。

まだ解けていない謎はこの辺り

  1. なぜマスターになる前の伊織を狙ったのか?
    土御門も知らない様子の15騎目オトタチバナヒメの召喚場所を察知していたあたりから、何かマスター候補に当たりを付ける占い、あるいは魔術を行使していた、あるいは魔術具を持っていた可能性が高いなとは思っていますが、そのあたりは語られないまま。
    マスターになる前の伊織を殺す理由はないはずだけど、何故だったのでしょうね。

  2. 盈月の器の入手後に地右衛門とランサーを見逃したのは何故か?
    いつでも斬れるなら盈月を満たすためにも今すぐ斬れよ、と思ったのは私だけではないはず。これから盈月を完成させようというタイミングで待つ理由も特に見当たらず。舐めプか?
    ここに限らないけど、本作は敵を殺せるように見えるシーンで何故か殺さないシーンが目立ちます。おかげでシナリオ全体に茶番味が漂ってしまっている。

  3. カヤに当たりを付けていたにもかかわらず浅草寺にカヤを連れてこなかったのは何故か?
    介抱されて義理ができちゃったから止めたのかと思わんでもないけど、15騎目をわざわざ察知しておきながら(メタ的にはそれをあえて描写しておきながら)特に活用している様子がないのは不可解なところ。
    地右衛門に誘拐を命じたのは正雪らしいのだが、何が目的だったのでしょうね?

  4. 宝具発動後に江戸が壊滅してないのは何故?
    あの巨大さで仮にも宝具としての攻撃力を有した大神使を召喚しておきながら、マスター達が手分けしたとはいえ、状況の共有会話をして、街から街に移動してひとふた戦闘終えるまでそれなりに時間が経過しているはずで、その間に何も攻撃せず破壊してないとかありえるのだろうか?
    そんなに鈍重だとしたら大神使さん巨大ってだけでめちゃくちゃ弱くない…?
    見えてる範囲でも数歩は歩いてるし、世のすべてを壊すと言っているのに破壊を控えるような歩き方を選ぶはずもなし。ちょっと歩くだけで大惨事になりそうだけど…ゲームシステム上の都合とか言われたら泣いちゃう。
    壊れた街を直せるレベルではないと思ったけど、あるいは土御門の弟の後始末がそんなに優秀なのだろうか。優秀ならマスターとして参戦した方が…。

キャスター&土御門

キャスターの生年没年は記録が見当たらないけども、古事記の編纂が西暦712年なのでその辺りの人物。
キャスターは盈月の力を借りずに土御門が独力で召喚したというから驚きである。そしてキャスターと協力して盈月の儀を作り上げたと。
土御門は残念ながらシナリオ上で直接の出番は少なく、プレイヤー視点でのみ描写されるシーンが多い。伊織と会えばすぐ死ぬし、会わずに死ぬパターンすらある。一時的にはサーヴァントの大半を手中にした策士。しかし何故かあまり凄みは感じなかったのは貫禄がなかったということか、そもそも出番が少なすぎたか。Fate/stay nightのメディアが3騎を手中に収めた時にはなかなかの絶望感だったのだが。

稗田阿礼は高精度な未来予測を謳っている割には全体的にあっさり負けるんですよね。勝率が低くても勝負しなければならない時があるのはわかる、けど地右衛門にすらサシで殺られてる(相打ち)パターンもあって雑魚臭がすごい。
未来予測できるのにマスターが死ぬの教えてあげてなかったし、ライダーの支配が狂言であることも予測できていなかった様子だし、そもそも予測できてるなら地右衛門と相打ちになるはずないし、なんというか本当に噛ませというか不憫というか良いとこ無しというか。一条の光エンドではラスボスを張るけどあれも令呪3画と盈月の魔力まで注ぎ込んでの大技で、迫力はあったけど稗田阿礼には結局大物っぽさを感じないままでした。
宝具も効く相手と効かない相手の差が激しそうでピーキーな性能。魔術師というより話術師という印象すらある。誰と戦っても負けそう。
最後の擬神招来も令呪3格に盈月ブーストまで加えて、それでも負けてるという。

まだ解けていない謎はこの辺り

  1. どうやってキャスター召喚したの?
    単に土御門が天才だった、で流していいレベルではないと思うのだが流されがちポイント。まあ成功した前提の話、成功した世界線などと言われてしまえばそれまでなのだが。
    盈月の儀の成立にはキャスターの能力が関わっていると雑記帳に書かれているけど、詳細については匂わせすらなく不明。

  2. なんで聖杯じゃなくて盈月に改造したの?
    聖杯戦争そのままじゃ駄目な理由があったはずだけど一度も語られず。キャスター2人にも紅玉の爺さんにすらボロクソに言われてる。本人が聖杯戦争のことを知ってそうな台詞はあるし、わざわざ別物として言い分けている雰囲気があるので同じものを指した言い換えでもなさそう。
    盈月に改造する過程で15騎召喚することになったはずだけど、何が狙いで何が副産物だったのやら。その辺りの設定については一切語られず。

  3. 身内の陰陽師で7人くらいマスター用意できそうなのに何でそうしなかった?
    聖杯は願望機ではないと知ってるなら最初から出来レース組めば良かった気がする。全員でなくともマスター2人参戦して手を組むだけでも有利さが全然違うのに。
    魔力的なマスターの資質についても、伊織や高尾太夫に務まるのだから陰陽師に務まらないはずもなく。
    式神をいくつも操れる陰陽師の配下がたくさんいるのは知ってますよ!たくさん斬ったからね!!!

  4. チート洗脳は手応えとかなかったんです?
    ライダーとアサシンは多分あれ正気を失ってなくて演技で操られたフリをしてるっぽいんだけど、一流の陰陽師である土御門氏は魔術の手応えとかでそれに気付けなかったのだろうか。それとも手応えを含めて偽装していた?
    なんというか、あそこまで大規模な謀略をやっておきながら負け方がお粗末というかショボいというか、もうちょっと土御門の良いとこ見てみたい的な気持ちがあります。

  5. 盈月の儀で15騎も召喚されるのは何故?
    ルーラーの若旦那は員数外らしいので全体としては16騎召喚されてますね。
    アポクリファの例を考えれば冬木の大聖杯くらいの出力で15騎いけることはわかってるけど、霊地に紐付けた逸れってそもそも召喚に応じる理由がないような…応じるとか関係なく縁を頑張れば召喚されちゃう設定になったのだろうか。そもそも逸れには縁がなさそうという謎もありますが。
    14じゃなくて15の理由とか実は16とかキャスター3騎とか細かい点も含めればツッコミどころは多数。世界観的な補完説明は欲しいところ。

  6. 小聖杯のあの形は何?
    あの螺旋の手みたいな盈月の器はいわば小聖杯に当たるはずだが、どうしてあのような形になっているのか何か意味があったのか、気になるところ。
    ここは設定が知りたいなくらいでそれほど大事な謎ではないような気がする。

  7. 大聖杯は?
    聖杯戦争をやるなら冬木の聖杯戦争に倣えば小聖杯とは別に大聖杯が必要になるはずだけど、それに一度も言及がない。存在の匂わせすらなく本当に触れられずに終わったんだけど、考えてみればFate/SNでも大聖杯の存在に迫ったのは桜ルートだけだったしな…と考えるとこれも追加エピソード事案なのだろうか。

陣営というより儀そのものへの疑問が多めだけどわからないことだらけですね。まあ儀の成立自体に関わる陣営なので仕方なし。
そして重要ポジションぽいのに主従ともに出番が少なすぎるせいか感情移入が全然できない陣営でもありました。悲しい。

アサシン&ドロテア

アサシンははっきりとわからないが紀元前510年即位の安寧天皇から6代後くらいらしいので、紀元前300〜400年くらいの人物と思われる?
地味に本作で一番古いのはアサシンかもしれない。
アサシンは我は群れにして不死みたいなこと言ってたので、ひょっとしたら一撃で蒸発させる威力が出せないと殺せないタイプかもしれない。それか聖杯戦争らしくマスターを狙うか。
マスターも普通に強いし魔術知識もあるし対蛇神特攻みたいなセイバーがいなければ誰もこいつに勝てなかったのでは…と思ったけどキャスターなら勝てるかも?
やはり英霊の勝負はジャンケン。
Fate/Zeroの百貌のハサンもそうだけどアサシン枠は時々それ反則やろみたいなアサシン出てきて大宝具に沈められがちですね。

ドロテアはもう一目見た瞬間から「奈須きのこの好きそうな女!!!」という感じでとても好きでした。遠坂凛やルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトに通じるところがある。でも凛ちゃんと違って心の贅肉を無駄と思ってなさそう。
一人で英霊を相手に鬼ごっこして海岸まで引っ張り相打ちに持ち込むとか実力もすごすぎというかありえないレベルです。
伊織の時にも思ったけど、全体的にFate/SNと比べるとサーヴァントが弱いというかマスターが強いというか、人間とサーヴァントの力量差が少なように感じますね。もし戦闘システムの都合とかシナリオ演出上の都合とか言われたら泣いちゃう。

この組で残ってる謎は1つだけ

  1. アサシンは何で裏切ったの?
    マスターを試したくなったってお前そんな…いくら優秀なマスターでも限度というものがあるだろ常識的に考えろアサシンなのに狂化してるのか?
    まあ今作ライダーだけど狂化してる人もいましたけどね。
    この点ドロテアは「神性持ちはこれだから」みたいなこと言ってた気がするけどそういうものなんでしょうか。FGOに限らず普通の聖杯戦争でも神性ってやっぱりデバフなのでは。
    何となくここの裏切りは「こうでもしないとこのペアが勝っちゃうから」というシナリオ都合感がうっすら感じられて嫌〜なポイントでしたね。ちゃんと裏切らないで戦う追加シナリオを求めたい。それとも甲賀三郎にそういう裏切りしたがる困ったちゃんな逸話があったりする?

バーサーカー&高尾太夫

おそらく盈月のバーサーカー枠に勝手にトラベルして収まった女武蔵。男武蔵と同じとすると西暦1584年〜1645年の人物。
もともと武蔵ちゃんが出る前提で企画が始まったそうだし、ここは出番もろもろ優遇されてますね。高尾太夫がマスター単体だと最弱なのに人間力だけでバーサーカー2人を従えてるのが強い。令呪も持ってるからちゃんとしたマスターではある様子だけど、武蔵ちゃんトラベル設定はFGOやってない人には受け入れられるのだろうか。なんか好き勝手に暴れて突然勝手に消える変な女みたいな印象になってそう。
ちなみに霊衣切り替えても伊織との決闘シーンでムービー部分だけ普通の霊衣になってましたね。あとたぶんプレイアブルになった際の仁王倶利伽羅な宝具演出も。衣装が特典であることを考慮すると地味ながら重要なバグ。まあ普通の霊衣の方が好きだったのですぐ元に戻しましたが…早期購入特典ェ
ちなみにFGOで知ってるセイバーの武蔵ちゃんと違いがイマイチわからなかったけど、バーサーカーである意味はどの辺だったんでしょうね。ヤマトタケルに譲ったから雑に収まった感が拭えない。

この組で残ってる謎はあんまりないけど1つだけ

  1. 土御門はどうやって高尾太夫に接触したのか?
    盈月側からマスターが誰なのか特定する術があるのかもしれないけど完全に不明。キャスターが地右衛門のことを妙に把握していたのは彼固有の能力か、あるいは儀の胴元側のチートか。

逸れのサーヴァント達

盈月の儀では逸れ8騎が召喚されているけど、Fateの他シリーズで知ってるキャラも多めで、正直作中の出番もこいつらを掘り下げるシーンは少ないため、軽く流していきます。

  1. 源義仲
    悪鬼滅ぶべしとバーサーカーのような言動を見せるも、ちょいちょい「良い鬼もいるけど」と嫁の惚気を入れてくる。爆発しろ。地味に宝具名も嫁と似ていて大爆発したまえ。
    そういえば丑御前がまだ名乗る前のコイツを見て「源氏か」とか言ってましたね。そんなぱっと見でわかる源氏らしい特徴とかあるのだろうか。

  2. クーフーリン
    Fate作品出席率高い気がするけど今回も出張ってきました。ゲイボルグが全然必殺じゃないお笑い要員。不憫枠。

  3. アルジュナ
    真面目な顔して宝具がだいぶ弱体化されたお笑い要員その2。まあ逸れは弱体化されてるって話だし…と投げ。

  4. タマモアリア
    タマモナインの一角ということだけど普通のキャスター玉藻前の方が個人的には好きであんまり刺さらないキャラでした。キャラデザだとは思いますが喋りがゆっくりすぎるのはあんまり。

  5. キルケー
    出番や会話にちゃんとキルケーならではの内容が多く、プレイアブルピグレットまで用意されるなど逸れなのに制作陣からの愛を強く感じるキャラでしたね。運営のお気に入り枠。
    FGOで見慣れてるはずなのにサムライレムナントのキルケーはなんだか5割増しくらいで可愛い。あとこんなに露出度高かったっけ、3Dだと際立つのかな。
    キャスター3騎もいるのにまともに西洋魔術できそうでコミュニケーション可能なのがキルケーしかいない気がする。むしろその枠というか解説役として選ばれてないかキルケー。今後の解説ポジに期待。

  6. 李書文
    作品時代を考えると未来の英霊なんですよね…どうやっても召喚に必要な縁が作れなさそうなんだけど…。

  7. サムソン
    伝承を知っている人には姿を見ればすぐわかったそうですが、私は知らなかったので最後まで全くわからず推理を完全放棄していました。良いキャラクターだった気がするのに真名わかって即撃破だったせいで感情移入する暇が全然なく残念キャラ枠に収まってしまった哀れな子。
    喋れないバーサーカーはプレイヤー的な思い入れが台詞から発生しないので振る舞いとか生前エピソードとかに頼る部分が特に大きく、真名判明が死亡直前になったのはデザインとして微妙だったと思います。せめてプレイヤー視点だけでもわかっていれば…ドロテアにもう少し早く姿を見せてあげて欲しい。

  8. オトタチバナヒメ
    当初は何かのエクストラクラスかと思っていたけど、どうも普通にキャスターらしい。なんと本作3騎目。オトタチバナヒメなんかはそもそも出番がめちゃくちゃ少なくてスペック含め色々と不明な部分が多い。セイバーにとってあれだけ重要な存在であり、儀においても15騎目がなんか重要そうなポジション匂わせしておきながらあれっぽっちの出番で終わりとか結構あり得ない待遇になっています。どこまでがカヤでどこからがオトタチバナヒメなのかも結構怪しい部分がありますね。

そういえば逸れって神性持ち結構多いけど普通に操られてましたねこいつら…神性とは一体…うごご…
逸れについては存在そのものからして謎が多いです。

  1. 英霊たちは何故召喚に応じたのか?
    彼らは盈月を求めている様子はないし、そもマスターがいないので盈月を手にできるようにも見えない。
    サーヴァントを失ったマスターと契約できるならサーヴァントを積極的に殺して逸れマスターを作りに行きそうなものだけど、その様子もない。
    英霊にも叶えたい願いがあるから召喚に応じるという設定だったはずだが果たしてこの辺りどうなっているのか。
    勝利を求めてもおらず盈月の儀が終わったら退去する身で自身の退去をそれほど恐れるとも思えないが、洗脳が解けた際に助けてもらった礼や現場確認もろくにせず、一目散に各々の霊地に帰っていく様子は強い違和感を覚えます。特にクーフーリンやアルジュナあたりはその辺しっかりしそうな連中なのに。

  2. 彼らの目的は何かあるのか?
    無為に日々を過ごして霊地を守っているように見えるが、そもそも現界する目的がないなら消えても問題ないので霊地を守る必要もない。
    それぞれ気に入った相手に助力するだけのマスター同士の闘争という観点からは厄介な存在にしか見えない。なんとなく召喚されちゃったから現世を謳歌しています、というだけならもう少しそういう謳歌エピソードがあっても良さそうな気もするが…いやタマモアリアなんかは割と謳歌してましたね。え、そういうこと?
    特に理由が示されない現状は、商業的な理由でサーヴァントをたくさん出したいから雑に作られた設定に見えてしまってとても印象が悪い部分。選ばれた顔ぶれの基準もアクション映え要員に見えてくる。

  3. どういう縁で召喚しているのか?
    キルケーも言及しているけど、江戸に全く縁のなさそうな地中海やインドの英霊や、そもそも未来の人物である李書文がいたり、とにかく召喚に必要とされるはずの縁が逸れについては皆無なのである。
    未来の英霊を召喚するなんてFate/stay nightでも一応ちゃんと縁があっての召喚だったのに李書文をどうやって召喚したんでしょうね。この辺りキルケーが謎として一度言及するだけで特に解決するでもなくヒントらしきものもなく投げっぱなし。
    唯一縁がありそうなのは先に召喚されたセイバーに縁のあるオトタチバナヒメくらいか。

ルーラー

こいつだけ別枠にて。
ときどき逸れっぽく扱われているが、エンドロールや作中資料を読む限り実はこのルーラーは逸れではない8騎目枠のように見える。そして正体は作中で一度も明かされないがどう見ても黄金のアイツ。これも割と本編ストーリーに絡んでくる割に名乗らないという他作品未履修の人からはどう見えるのか心配になるキャラクターその2。
そして土御門が想定した15騎には含まれていないらしいのである。
早々に盈月を紛い物と断じて儀に興味を失っている様子だが、そもそもコイツが召喚されていることがおかしいし、召喚に応じたことも含めて不思議。
儀の勝利を目指していないという点では逸れ8騎と共通する部分がないとも言えないが、クーフーリンとのやりとりを見る限り繋がりはないか、あっても間接的と思われる。
オープニングムービーだとルーラーと逸れ6騎(サムソンとオトタチバナヒメ以外)が並んでたから何か繋がりがあるかとも思ったが、こちらも謎多き人物。
しかし現界(推定)数日で江戸市中にあれほど立派な店を構えるとは、流石の黄金律Aというべきか。
実はコイツだけ盈月じゃなくて抑止力とか別枠で召喚されたのではないかと疑っている。地獄の門とか伊織達が初動を抑えて破壊しなければ普通に日本壊滅コースの被害が出そうだし、あり得ない話ではない…のか?

エンディング別感想

念のためクリア後に攻略サイトも見たけど4章までの展開が共通で、エンディングは4種類だけで確定のようです。どれも途中までの展開は変わらない。

一条の光

稗田阿礼がラスボスとなり、セイバーが自分と向き合うエンド。セイバーの存在自体を揺さぶってきたり大きな龍を出したりと派手にやっておりましたが、決戦の地が赤坂でキャスター側の自陣なのにボロボロにしすぎだなとか、キャスターなら聖杯(盈月)の成立にも関わっているのにもう少し何かなかったのかなとか、キャスターなのに知略面が弱いなとか、色々考えちゃいましたね。
Zeroの再契約が言峰&ギルだったことを考えると、本作の鄭成功&稗田阿礼の再契約はちょっと格落ち感がありました。もうちょっと活躍して欲しかったところ。
そしてこのルートではカヤ無視なのは何故なのか。稗田阿礼は15騎目どうこうの話を知っているはずだし、正雪みたいに義理とかないはずなのに。というかこのルートに限らず15騎目の重要性についてスルー気味なのが気持ち悪い。

怨讐の焔

地右衛門の復讐に正面から向き合い江戸城が炎上する、地右衛門の深堀りエンド。
これ炎上収まっても幕府解体不可避ってレベルのダメージ負ってないです? 江戸城もうダメでしょこれ。
ジャンヌの死に方は文句なしなんだけど、地右衛門が何をしたかったのかと考えると少し考えてしまう。あのボスの鬼らしき怪物が何者かよくわからないから強さがあんまり伝わってこないまま終わっちゃったんですよね。幕府が崩壊しそうなダメージは与えてるし地右衛門も目的を遂げたとして良い気もする。伊織はカヤは救えたけど江戸は守れてなくていいのかな…伊織の感想を聞いてみたい。
あの門が何だったのかも謎だけど、会話の流れとしては文字通り地獄の門なのでしょうか。地味に食われても死なないオトタチバナヒメの強さが発揮されたエンドでもありましたね。ヒメは一度も戦闘してないけど防御力だけはピカイチ。

可惜夜に希う

2周目で入れるようになる剣鬼伊織エンド。2周目でないと入れないことも含めて位置付けとしては本作最後のエンドの位置付け。
ある意味では伊織が最も満たされるルートと言える気はするが、伊織が幸せになれる可能性はないのかと悲しくなる。切り捨てるセイバーも悲しそうなんですねこれ…。
Fate/stay nightならこれがトゥルーで別選択肢のグッドエンドが別にありそうな雰囲気だけど、伊織が伊織なので無さそう。あるとしたらセイバーに勝ってしまうエンドくらいだろうか。

そして伊織の物語としてはこれで終わりでも違和感ないのだが、Samurai Remnantが終わった感じが全然しない読後感。
えっ…これで終わり…?

若旦那と愉快な仲間たち

タイトルは勝手につけたけど何のことかはプレイした人なら一目でわかるはず。コメディルート。
またタイプムーンの悪ふざけが…と言いつつ個人的にはこのエンドが一番好き。そしてエンドロールの短さよ。
伊織も各地で剣を振るえてそれなりには楽しいのではなかろうか。
あとしれっと若旦那とセイバーが受肉してますね。まあ若旦那の宝物庫なら可能でも驚かないけど、やりたい放題ですな。

その他

プレイしながらメモってた訳じゃないので、思い出せる範囲で。

タイトル画面あれこれ

タイトル画面で「つづきから」を押すと伊織とセイバーが歩いてくる演出がありますよね。
あれを見て「これはセイバー以外と歩く演出に備えてあえてボタン押す前は誰も映らないようにしているに違いない」と思ったのに再契約展開がなくて勝手にがっかりしていた…。
聖杯戦争といえばやはり再契約はロマン。士郎は結局やらなかったけど伊織には期待していましたが実現ならず。

3章のカヤ捜索中の土遁の壁

あれは誰が出したのかが割と謎。
キルケー、ドロテア、由井正雪あたりがやった(あの場に居た)ならその後の追撃がお粗末にも程があるので、地右衛門がやったとしか…でも地右衛門だとしてもおかしいような…。

気付いたのはここだけですが、もう一度プレイし直したら他で出現する雑魚や足止めにも似たような違和感あるかもしれません。

キルケーはどこまで儀の仕組みに迫っていたのか?

Fate/stay nightではキルケーの妹弟子たるメディアが聖杯戦争の仕組みを完全に理解している様子があったけど、本作で姉弟子たるキルケーはどうだったのかが地味に気になっています。自分が召喚された縁がないこととか疑問に思ってる節はありそうだったから調査はしていそうな気がするのだが、果たして。

敵マスターの戦闘における存在感の無さ

鄭成功にせよドロテアにせよ地右衛門にせよ、バトルに参加する敵マスターは多い本作でしたが、印象がないです。なんか立ってただけというか、そりゃ攻撃もしてくるけどマスターごとの特徴が感じられない。
膝をつかせても何故かセイバーが斬ってくれないのも不満。マスターを倒せれば強いサーヴァントは無視しても勝てるんですよ?
FGOの敵マスターが戦闘中に令呪で援護してくる演出の方がよほど存在感があったように思います。他マスターも普通にサーヴァントと相対することにより伊織の戦闘力の凄み説得力も下げてるし、何の演出だったんだろうなアレ…。

総括

全体のゲーム構成について

バトルが全体的に不要、もしくは不必要にゲームプレイの比重が高く、その部分でプレイヤーにかけるストレスが高かったなと。
ノベルゲーで出しているか、バトルをオートで観せてくれるモードが1周目から使える、一度クリアしたシーンやバトルはスキップできる、などの各種工夫が盛り込まれていればもう少し違ったと思います。

シナリオ面について

Fateシリーズへの期待として重要度が高い部分ですが、追加エピソードがあくまで追加要素であり基本的には本作だけでも完結するべきと考えると、この作品の評価はかなり低くならざるを得ません。
作品の販売単位はある程度の完結を見せている単位であるべきです。しかし本作では作中で重要な背景や設定が全く触れられずに終わっている部分が少なくありません。
設定として瑣末な部分だったり、知らなくてもシナリオ本編を理解する上で問題ない詳細な設定について、本編の過去や未来についての余談、といった枝葉の内容をDLCや設定資料集などで補足していくのは良いと思います。しかし本作はそういう次元ではないと感じる部分が多く空白になったままです。
仮にDLCの追加エピソードありきの、いわゆる完全版商法でシナリオが考えられていたとしたら非常に残念で、もったいない作品だと感じました。
個別シーンでの盛り上がりの演出はしっかりしているし、引き込まれるシナリオ展開もあります。私も1周目のクリア時はとても楽しいゲームだなと思っていました。しかし2周目をプレイしエンディングを全て見た後で全体を振り返ると「これは後で回収されるのかな?」と思っていた部分が結構投げっぱなしなところが目立ちます。そして2周目でプレイヤーに与えるプレイ負荷への配慮が無いのもそれに拍車をかけます。

作品として

3D演出の派手さやビジュアルの凝り方、フルボイスなどのレベルも商業作品らしい水準に収まっているとは感じるものの、Fate世界観を楽しみたくて買った私としてはバトルシステムが無双系なのは罠でしかなかったし、シナリオや世界観全体としての整合性を感じさせる表現が乏しくて色々と投げっぱなしな部分が多くて非常に残念でした。コーエーが作ると戦闘は全部無双っぽくなるんでしょうか。今後あそこのゲームを買うのが怖い。(バトルに関しては完全に個人的な好き嫌いという自覚はあります)
シナリオ全体としても剣鬼エンドは伊織の終わりとしてはともかくFate/SRが終わったという感じが全くしない読後感で、不完全燃焼。
部分部分は良いのに全体がダメというのは最近のゲームにありがちな悪い傾向だと思っていますが、Fate系はその辺は大丈夫だと期待していただけに落差が大きかったです。

おわりに

ややネガティブ寄りの感想となってしまいましたが、いかがだったでしょうか。
個人的なプレイ後のモヤモヤを供養するために本記事を書いた側面があります。ここまで読まれた方はお付き合いいただきありがとうございます。

有料部分はこれまでの内容を踏まえてだいぶフランクに総括2を書いています。
大したことは書いていないので、本記事が参考になった、気に入った、応援したい、フランク部分が気になる、などと思った方のみ購入して頂ければと思います。それでは。

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