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あたらしい冷蔵庫

 最近、冷蔵庫を買い替えた。

 それまで、初めて親元を離れた学生のころに買った冷蔵庫を今に至るまで十年以上は使っていて、そのことを意識すらしていなかった。

 まったく壊れる気配はないし、このままでいいと思っていたのだが、休日に家の様子を見に来た母からの「まだこの冷蔵庫使ってるのね」という一言から、だんだんと買い替えたくなってきた。
 
 言われてみれば、もう冷蔵庫内にこびりついた臭いや汚れは取れなくなって久しい。日々の生活がぎりぎりすぎて、冷凍食品に頼って生きているから、冷凍室は常に一杯で、本音を言えばもっと容量が欲しいくらいだった。

 とはいえ、わたしにとっては決して安い買い物ではない。一週間くらいインターネットで「冷蔵庫 買い替え タイミング」とか「冷蔵庫 おすすめ ランキング」とかあれこれ調べて悩んだのだけれど、どうにも決めかねて実際に店頭へ足を運んでみることにした。そこには最新機能が搭載された冷蔵庫がぴかぴかと並んでいて、圧倒されているうちに買ってしまったのだった。

 そうして我が家へやってきた新しい冷蔵庫には、待ち望んだ大きな冷凍室があるのはもちろん、前にはなかった野菜室もついている。これまではスーパーで買ってきた野菜をすぐ料理せずに腐らせてしまうことがよくあったのだけれど、その頻度が大幅に減って、予期せぬ喜びがあった。それまでは冷蔵室と野菜室なんてたいして違わないと侮っていたのだが、たいそう違ったのだった。

 母のなにげない一言がきっかけだったけれど、この冷蔵庫のおかげで前よりいい暮らしができている。それに、つやつやと光る新しい冷蔵庫が、目に入るたびにちょっとうれしい。早くもわたしの「今年一番買ってよかったもの」になりそうな予感がする。

 

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