第219回:論文29の解説3回目(今回でこの論文はおしまい。次のアイデアはやや浮かびましたが、まだまだ足りない。論文を読んでいくのだ~)

論文名:Interaction with a phage gene underlie costs of a β-lactamase
掲載された雑誌:mBio
掲載された論文に関する情報:2024, Volume 15 Issue 2
掲載された論文のDOI:https://doi.org/10.1128/mbio.02776-23

Fig.4には、プラスミドのない状態で、Fig.1~Fig.3まででわかった、relAの遺伝子変異がフィットネスにどのように作用するかということを検証しています。

で、結論としては、プラスミドのない状態では、フィットネスにはrelAはほとんど関係がないということで、この遺伝子変異とプラスミド保持ということがフィットネスコストには重要だということが明らかになりました。

ただ、Fig.5にありますように、relA遺伝子というのはそれほど広範に検出されるわけでもなさそうなので、どんなもんかなという感じです。

前回のNoteに上の部分を付け足せば、前回で終了でもよかったのですが、いろいろと考えもあって、途中で切りました。

というのは、私たちの研究室では薬剤耐性菌について研究をしているのですが、薬剤耐性菌というのは、結構大きなプラスミドを保持しています。それも、菌株によっては、複数のプラスミドを持っていて、そのプラスミドを保持しているということと、それなりの速度で分裂するという二つの事象の間でバランスしている株が多いです。

特に、臨床分離株の発育速度は非常に早く、このことはプラスミドを保持していても、フィットネスコストにならない何らかの機構が働いているということになります。

今回の論文で得た知見もその機構の一部である可能性はありますが、小さいプラスミドは脱落しやすいような印象もありますので、このあたりは慎重に見極める必要があります。

いずれにしても、臨床分離株から分離したプラスミドの性状を明らかにしていく必要があります。

このあたり、まずは全ゲノム解析でプラスミドの遺伝構造を明らかにすることになるのですが、プラスミドには挿入配列もおおく、また繰り返し配列も複数見られることもありますので、全ゲノム解析でも、完全なプラスミドの構造が決定されないこともあります。

このあたりは、まさに私たちの研究の主眼でもありますので、学会や論文発表していこうとしているのです。

まあ、あんまり㋒なくいかないことも多いです。

ということで、今回は短いですが、臨床分離株を中心に研究していきましょうという意思を表明して終わりにしたいと思います。

本日は、学位審査もあり、外部講師もありで、ほとんど自分の研究する時間は取れませんね。論文読みます。

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