第229回:毎週「Nature」誌から一つ、論文のabstract(日本語要約)を選んで、解説しながら紹介するとどんな風になるか? の47回目

7月になっているので、「もう今年も前半が終了か~」とかいう人がいますが、我々大学にいる人間としては、4月に今年が始まったばかりで、まだ3,4か月しか経過していないし、前期も終わっていない。ということは、今年も結構長いのだなあ、と思ったりもするし…。この辺りは世間の人の感じ方と違ってきているのかもしれません。

これに関係しているかなと思いますが、昨日、「第11波のXXか!」とかYahooニュースで見かけました。このようなことをいう人の頭の中はどのようになっているのでしょうか?

やはり、感染症なのだから、シーズンごとの流行を考えるべきだし、もうすでにその例の感染症も一般化したと考えたほうが良いのではないかと思います。だって、インフルエンザはそうやって考えていますよね! ね!

ですから、この時間経過のこととか、体内時計のようなこととかはちょっとここらで整理していただきたいですね。

でもやはり感じることは、例の感染症にはやはり何かの利権が絡んでいるのだろうか? え?

そのような策略、謀略、陰謀の類は置いておいて、今週のNature誌(Volume 631 Number 8020)です。

今週号もいろいろと面白い論文は掲載されているようですが、やはり「微生物遺伝学:肺炎球菌の地理的移動と適応度の動態」しかありません。

現在は、次世代シーケンサーの発達もあって、最近株の染色体構造を簡単に決定することができます。ただ、このせっかく解析した遺伝子配列もあまりうまく使えていません。というのは、最近の染色体構造は一定ではなくて、しばしば転座や逆位や欠失や挿入など様々な構造の変化が生じているのです。

今回の論文で使っている肺炎球菌はグラム陽性菌といって、比較的染色体の構造変化が多くない菌種ですからこのような研究もうまくいったのかもしれませんね。

もう一つの着目する点は人の動きを数学モデル化して、細菌の動態として考えているところです。

そうですよね。細菌は人に感染するのだとすれば、特に肺炎レンサ球菌などは人を宿主とするだろうから、人の動きが細菌の動態と考えてもよいのでしょう。

この論文は、私たちのやりたいことと結構合致しています。残念なことに私たちの研究グループには数学者がいませんので、数学モデルを構築することは難しいですが、でもこの方向に向かいたいと考えています。

どこかの学会に打って出て、出会いを求める必要があるのかもしれませんね。

この論文もよく読んでみたいと思います。


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