スタディに参加して感じたこと
先日、京都でビッグブックスタディが開催されました。企画、運営をしてくださった方、講師役を務めてくださった皆さんお疲れ様でした。
参加して感じた事を(どんどん忘れていくので一部ですが)書いてみます。
何かを手に入れるには、何かを手放さなければならない
上記のテキストはステップ6・7の説明で使われていたテキストですが、12ステップ全体を通して必要な考え方だと改めて感じました。
回復していくには何かを得て、積み上げていく事ではないということ。
12ステップは世間で言われている、自己啓発のようなもの(必要な知識、スキル、意欲等を身につけて自分の力で、人生を好転させていくもの)
とは構造的に違う事がわかります。
自分の回復(プロセス)を自分でコントロールすることはできない
講師役のメンバーは、農業の営みを例にこの事を説明してくれました。
お米を作るには田植えの前に、代掻きをはじめ田植えの前にやらなければいけない準備があります。田植えをしてからも水の管理や、害虫対策、除草、いもち病対策など様々な事をする必要があります。
それでも最後は「お天道様次第」と言われるように天候によって収穫は大きく左右される。私達にできることは必要な準備を整える努力であり、後は太陽光、水、植物が持つ光合成の働きに依存している(自分由来ではない力に頼らざる得ない)。
この例えを通して、私達も必要な準備を整える努力(棚卸し、埋め合わせ、祈り、黙想等の行動)はできる。でもその結果、霊的目覚めと言われる回復を自分の望むタイミングや、自分の望む形で掴み取ることはできない。
それは「ハイヤーパワー次第」なんですと教わりました。
結果をコントロールできないことへの不安
こう言われると、私たちは寄るべの無い不安や無力感を感じます。「努力しても望んだ結果が得られないのなら、やらない方がマシ(だって惨めで耐えられないから)。」
ミーティングの分かち合いの中で、アルコホーリクの多くがこうした考えを多かれ少なかれ持っている事を教えてくれます。
それほどまでに私たちは、自分の意志に依存して生きているのでしょう。
さて、視点を少し変えてみます。
努力して目標を達成しようとするのは私たちの意志の働きです。
次は意志についてみていきましょう。
二つの意志
意志には2つの働きがあり、ひとつは自分の理想、願望、目標等に向かう方向性としての意志。(意志①)もう一つは、具体的な対象を得るための行動を移すときに用いる意志(意志②)。
問題が生まれるのは、具体的な対象を得ようとする意志(意志②)を理想や進むべき方向性(意志①)に適用しようとして無理をすれば、第一の意志は力を失い、消滅してしまう事といっています。
具体的にはどういった事でしょうか。
受け入れること
つまり意志には2種類あり、理想や目標としての意思と具体的な行動としての意思があるという事です。
わかりやすくするために、回復したいという願いや目標を意志①として
そのための具体的な行動を意志②と定義します。
今までの文脈で表現すると「プログラムに取り組むことはできるが、自分が望むようなタイミングや形では回復はできない」(だってそれは与えられるものだから)といえるのではないでしょうか。理想とする自分(なりたい自分)にはなれない現実を受け入れる事とは、時に苦しいものです。だから私たちには、信仰というものが必要なんでしょう。
逆説的に言うと私たちが、自分自身の現実と限界を受け入れ始めた時、回復とか成長は始まるのではないでしょうか。
そんな事を考えさせてくれたスタディでした。
今週からはBBSGの続きをしていきます。
参考文献
AA(2003) 『アルコホーリクス・アノニマス』AA日本出版局訳 ,AA日本ゼネラルサービスオフィス
カーツ,アーネスト(2021)『罪と恥』依存症からの回復研究会
ジョー・McQ (2008)『回復の「ステップ」』 依存症からの回復研究会
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