世の中はかくこそありけれ吹く風の 目に見えぬ人も恋しかりけり 「貴女と会うために生まれてきたのかもしれない。」 そんなベタでロマンチストめいたことを僕が考えていることを貴女が知ったら照れながら「表現の仕方が素敵ですね。」なんて言ってくれるだろうか。 いや、それすらも僕の愚かな妄想なのだろう。 一言で「運命」だったのだろう「始まり」も「終わり」でさえも。 はしきやし我家の毛桃本茂く 花のみ咲きてならずあらめやも 「運命」の歯車が回り始めたのは 二年生の春休み。まだま
「得体のしれない不吉な塊が終始私の心を押さえつけていた。焦燥といおうか嫌悪といおうk、、、」 そこまで呼んで教科書を閉じた。 たかが一文とちょっと。しかし俺の心を掴むには十分だった。 読んだ字数の割に合わない疲労感を感じ軽く伸びをする。小気味良い「コキッ」という音が肩甲骨、首筋から漏れ出る。 5月、、、爽やかとは程遠い蒸し暑い五月晴れの天気の中で粛々と進んでゆく現代文の授業。 誰かの音読を尻目におもむろにタンブラーのコーヒーを口に含む。中途半端な温度で美味しいとは言い難い。