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いとし、かなし

 何故、悲しかったことを心の支えにすることがあるのだろう?
 悲しい辛い記憶なら、それらと関係ないところで生きていけばいいのに。
 そんなことを考えながらテレビをつけたら、一人の女性の顔が目に飛び込んできた。外国のドキュメンタリー番組。彼女はとても悲しい辛いことがあって、人前で涙が溢れてきてしまい、懸命に堪らえようとするのだが、溢れる涙を止められない。
 その泣き顔を見た瞬間に閃いた。
 古語では「かなし」は「愛し」だ。いとしいことも、かなしいことも、根っこは同じ「愛」なのだと、昔の日本語は教えてくれる。
 憎しみさえも、愛なのかも知れない。

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