若い人たちが郷愁を感じるようになっちゃった時代.
とりわけ思うに、現代の機能不全を現してくださいと頼まれたら、「若い人たちが郷愁を感じるようになっちゃった時代」と言える気がする。
別にまだそこまで生きていないのに、あまりにもその人生が過酷なものだったから、思春期の青年少女が小学生や幼少期の時代をさも老年期に思い返すかのように"郷愁"している時代だと思うのだ。
おそらく郷愁は心理的には感謝を込められて行われるものだ。だから老年、それも発達がしっかりと遂げられたお年寄りの方に起こる心の成熟だと思われる。
しかし彼ら彼女らの思う郷愁は、感謝ではなく「悲哀」だ。
悲しみと痛みの裏返しの感情である。
ここが本当の老年と、若年期の明確な違いだと思われる。
私たちはそんな彼ら彼女らを本当の意味でもう一度原始に戻さねばならない、と思う。
言い換えればもう一度"生まれ"させなければならないと思う。
なぜなら痛みと悲哀を感じる彼らは、生まれたその瞬間から"主権"がなく、情緒というものの芽を摘まれて生きてきたからだ。
そこには毒と名のつく親がいたことは明白だが、そもそもその親が毒になったのもその前の時代に繋がる。
おそらくは誰一人、に責任があるのではなく、この時代、この日本、この文化をつなぐ我々全員に責任があるのだと思う。
だからこそ、もう一度この日本を再生させなければならない。
初めての情緒と、生きる、を取り戻さなければならない。
彼らにああしろこうしろと言えるのは、それが達成されてからのことであろう。
今はもはや子どもに教育はできない。
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