[創作]望まれた親孝行
「お母さん、お父さん、最近は僕もお金を稼げるようになって、ある一定の仕事をすることができるようになったから、あなたたちの日常を手助けできるようになって、それであなたたちは「親孝行だ、親孝行だ」って喜ぶけど、僕はそういうことがしたくてやってるんじゃない。
僕はあなたたちが自身の欠落とに向き合ってほしいとの思いから、この物質的な恩返しをしているんだ。
物質的な恩返しを縁として、自らの心に自省の針を向けて欲しいのだよ。仏道に、入ってほしいんだ。
お父さん、あなたはあなたの命を懸けて育てた子どもが大成して、世間的にも評価されることに自身の仕事と我慢とが報われたと思って、鼻高々になっているかもしれないが、
お母さん、あなたはあなたの息子がほんとうにいい子で、昔から情緒のあるやさしい子だった、「ありがたいありがたい」と思っているかもしれないが、
僕はそんなことを思わせるために親孝行してるんじゃないんだ。
僕はあなたたちがあなたたちに気づいてほしいんだよ。
僕はあなたたちが、あなたたちの下した決心が仇となったその理由に目覚めてほしいんだよ。
それはあなたたちの不足だ。
あるいはおじいちゃんとおばあちゃんのね。
僕はただそれを知らせたくて、
19回の自殺苦を通り過ぎてきたんだよ。」
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