「あの頃に戻りたい」

友達が口にした。
それを聞いた友達も口々に語る。
私はそれを得意な愛想笑いで流しながら鼓動が早くなるのを感じた。
きっと私がこの中で1番、あの頃への未練があるんだろう。こう考えてしまうのも性格の悪さが見えてしまって罪悪感が込み上げてくる。

周りが今の生活を楽しんでいる中私はまだ進めていない。
過去と今を見比べている私と今を楽しめている周り。

目をつぶればあの頃の光景が蘇ってくるし、
夢の中ではあの頃の私で私らしく笑っていた。
いつかあの頃に戻れる気さえしている。
私はばかだ。

あの頃の私は毎日が楽しくて、当たり前のように笑い合える友達や絆も愛情も深い友達に囲まれていた。
廊下では色んな人が話しかけてくれたし
テストがだるいだとかもう帰りたいとか心の底から思っていないからこそ言えた言葉を交わした。
そして私は恋をしていた。
その人と会うために学校へ行き、朝から浮腫をとって匂いに気をつけて髪を綺麗にして
少しでもその人の心に近付けるように頑張っていた。
あの頃の私は我ながら可愛かったし輝いていたと思う。記憶が美化されすぎているだけかもしれないけれど。


いちにちだけ戻りたい。

アルバムでも見返していたら戻れたりしないだろうか。そう思ってあの頃のものを見返していた。そんな時、

「思い出は思い出だからいいのであって戻れるものじゃない」
過去の私が日記に書いていた言葉。

過去の自分の言葉に救われる日が来るなんて。


だけどやっぱり今の私には進むのが難しいみたい。だから今日も“いつか”を聞いてはまた泣いている

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