夏の悪夢
この学校なんでオカルト部が一度廃部になったか、知ってる?
学校の七不思議を確かめようってね、夏休みの登校日、顧問の先生に付き添いを頼んで、夜の八時まで学校にいる許可を貰ったの
この学校の七不思議は踊り場の大鏡、トイレの花子さん、美術室のモナリザ、学校をうろつき回る人体模型、真夜中に鳴るピアノ、書き足される絵、そして六つ集めたら何か起こるってやつ
八時までだからね、時間が限られてるものは諦めて、その日は三階トイレと美術準備室と理科準備室を探索することになった
書き足される絵らしきものは美術の先生が気味悪がって既に廃棄されていたことが分かってたらしいよ
オカルト部の六人と先生は、まず美術準備室に向かった
美術準備室には模写の授業のためにモナリザのレプリカが置かれてる
七不思議はどこから見てもモナリザに見つめられるってものだけど、そのレプリカを見たらすぐ仕組みが分かった
よくある仕掛けで、目の部分だけ凹んでたんだよ
だからどこから見ても見られてる風だった
次に理科準備室に向かった
人体模型を校内を歩いて探しまわるより定位置にあるかを確認するほうが早いからね
行ってみたら、人体模型が二つあった
片方は授業で見たもの、もう片方は人体模型の形のプラスチックに絵の具で色がつけられたものだった
背中部分に科学部数名の名前が書かれていて、その近くに動く人体模型と題されたレポートがあった
科学部の研究だったらしい
本物の人体模型は動かなかった
最後に、三回の女子トイレに向かった
女子トイレだから、四人の女子部員だけで入って花子さんを呼び出す儀式をした
よくあるノック三回と「はーなこさん、あーそびましょー」ってやつ
数分待っても音沙汰なし、ドアを開けてみてもなにもなかったんだって
で、結局全部嘘って分かって帰ることにした
荷物を持って、帰る時記念にって仲のいい女子部員三人が、踊り場の大鏡に写る自分たちの写真を撮った
踊り場の大鏡になにか起こるのは4時44分だし、その時はまだ午後七時半だった
そして全員親が迎えにきたことを確認して先生も職員室と校門と裏門の鍵を閉めて帰宅した
そして夏休みが明けて数日経って、女子部員四人とも休んでいたけど、一人だけ放課後に登校してきた
そして、オカルト部で、他の三人がいなくなったかもしれないって言った
自分もいなくなってるかもって
女子部員は四人とも仲がいいけど、一人だけカメラを向けられることが苦手で写真はいつも三人だけで映ってたらしい
そしてその写真は必ず送ってくれるらしいんだけど、鏡に写した三人がいるはずのその写真にはスマホしか映ってなかったんだって
それで怖くなって、数日部屋に引きこもってたけど、伝えなきゃいけないって学校に来たんだって
実際に、その三人は、消えていた
オカルト部以外の人たちの記憶からも、生ていた記録すら消えていた
それで、オカルト部は廃止になった
学校で肝試ししたのは確実だけど、その中でどれが原因か分からないから、もういっそ部活ごと廃止しようって、部員と先生の三人が決めたらしい
今はそんな噂も薄まってまたオカルト部ができたんだけどね
え?そうだよ一度廃止されのは三年前……噂がないと、実在できない生き物なんだよオカルトって
七不思議、やってみたいの?
今のを聞いて?
ああ、六つ集めたらっていうの知りたいだけか
別にほんとは六つ集めなくてもいいんだけど、六つの七不思議はその七つ目にひれ伏してる的なイメージ?があってそうなってるんだよね
七つ目は、桜だよ
よくあるでしょ?桜の下に死体が埋まってるって
でも、ここの桜の七不思議は別……これ以上は自分で調べてね
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?