スズムラさん「リセット」カバー小説

僕にしては割と珍しく重くなくなりました(?)
人生リセットボタンは一体どこからリセットされるのか
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「リセットボタン?」
小さな箱に入ったボタンが職場の机に置かれていた。
いたずらか、誰かの子供が持ってきて置いてった忘れものか。
にしたら箱にきっちりしまわれてるのもちょっと違和感があるな。
中身はアニメやドラマでよくありそうな押してはいけないのに押したくなるボタン。
カバーの下に白い文字でリセットと書かれた赤いボタンが座ってる。
おもちゃにしても説明書の一つもない。
試しに押してみようかと思ってカバーを開けたが、少し不気味というか異様なオーラを感じてすぐに閉じた。
これは、本物じゃないか?
確信なんてもちろんない。
リセット、したくなることはもちろんある。
ゲームのようにほんの一つ選択肢を押し間違えでもするだけで、人生は終わることだってあるんだ。
ゲームなら、セーブしたところまでリセットすればまたやり直せる。
……やり直したいわけじゃない。
確かに後悔は何度もしてきたけど、それらの後悔全てをリセットしたいわけじゃない。
ほんのちょっと気分転換程度に気軽にリセットしてみたいだけだ。
ゲームのように俺を待っている人はいないけど、この売れなさそうなゲームだって俺だけが満足できれば充分じゃないか。
来生はまた来生考えればいい。
今は今生のことだけ考えていればいいじゃないか。
ひとまず、このまま少し今の自分でいてみよう。
リセットボタンを自分の隣に置き今日も積まれた書類の山に向かい、仕事を始めた。
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