臆病者

去年書いた詩です
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   臆病者

 迷い込んだが最期
 少女は逃がさない
 逃れることは赦されない

 浴衣から覗く白い手足
 鬼の面を頭につけて
 不気味な綺麗を従えて
 静かに歩みを進める
 『愚かな臆病者
 貴方は何故に生きている?』
 低い声が静寂に響く
 常識気取りの野蛮人

 隅の棚で笑う日本人形
 赤い鳥居に佇む紅色
 金魚が空を泳ぐ
 夕焼けの灯が鱗に光る
 『愛する臆病者
 貴方は何故に生きている?』
 哂わぬ微笑を貼り付けて
 愛してるも役不足

 紅い痕をつけて
 隣で歩みを進めてく
 その口づけに意味は要らない
 ただ拐い拐われる
 その儀式
 ただそれだけ
 その口づけに愛は要らない

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