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   臨死体験 

【ピエロの手記 28】

後で聞くと、3日3晩昏睡していたそうだから、この幻想夢は
その最も最後の瞬間のことのようである。
アラビアンナイトの物語のような豪華な宮殿を私は彷徨い歩いていた。
案内人はいない。
ふと光の漏れている部屋を覗き込んだ。
立派な髭を蓄えた王族と見える2人は、
人類の未来の処置の仕方を論じていた
急いでその場を離れた。

こんどは脈絡もなく
私は大変なご馳走を前にして立派な椅子にかけていた。
絢爛豪華な部屋であった。
私が食べようとしたとき、突然床が抜けた。
私は落下して瞬間に蘇生したのである。
眼を開けると、
これも驚いた顔で覗き込んでいるドクターと目が合った。
私は思わず苦笑せざるをえなかった。

舞台は、東京警察病院の !CU のベッドの上であった。

          By  悲しいピエロ


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