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エッセイ ③ポンくんとクリスマス


魔法使いぽん

 この絵は大手石油会社のカレンダーで使ったものだ。カレンダーは生き物で、旬が過ぎてしまえば捨てられてしまう運命となる。20万部発行されたと聞くが、国内で目にしてくれた人を探すとすれば砂漠でコインを拾うようなものである。
 であれば、読者の皆様に観ていただきたく、埃りを払いのけ原画を引っ張り出した。「創作童話」として世に生まれたもので、絵の裏には当然物語が書き添えられている。
 ざっとこんな内容。「クリスマスが近いというのに、サンタは年老いてしまい、どこにも行けなくなったと打ち拉がれている。だが世界中の子供たちは、毎年この日が来るのを鶴首し待っている。トナカイは願いを叶えてやれないサンタを見て気の毒に思っていた。
 その近隣の村に、ポン君という魔法使いがいた。そこでトナカイはポン君に頼んで、サンタのために魔法かけて元気にしてあげようと思いつく。ポン君の魔法は、人指し指を口に加えポンと音を鳴らすのである。するとたちまち願い事が成就するのだ。魔法をかけられたサンタは、みるみるうちに若返り元気になった。さっそく相棒のトナカイに乗ったサンタは世界へと飛び立つのである」。
 そんな物語だ。
 20世紀最大のチェロ奏者と言われた、パプロカザルスは、音楽で生涯平和を訴えた。絵だって同じである。私はサンタの絵で世界平和を願い、幸というプレゼントを贈り届けたい。

 

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